2012 Fiscal Year Annual Research Report
局地的集中豪雨にも耐える大雨のための避難計画と避難所計画の開発研究
Project/Area Number |
23656361
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
森田 孝夫 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (90107350)
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Keywords | 防災計画 / 新潟福島豪雨 / 奄美豪雨 |
Research Abstract |
被害地域から離島、中間・山間農業地域を選び、水害記録・現地調査、郵送アンケート調査を実施し、地勢と避難行動と避難所形成の相互関係および計画課題を分析防災計画の改善に有用な共通課題が浮かび上がった。 ①<高齢化したコミュニティの課題> 高齢者の避難行動能力は深刻な問題(住用町)をはらんでいる。そして高齢者福祉施設で遭難が発生している点は、施設の立地場所の検証と災害の想定・対応マニュアルの見直しを要求している。高齢者の徒歩避難能力を期待できない問題は、高齢者だけの核家族や単身家族において課題となっている。 ②<避難圏の規模の課題> 山裾と海岸や川の間をぬうように線状に分布する集落は、道路が分断されると孤立を余儀なくされ、核となる集落にある小学校等の指定避難所へ避難することができない。そのために地区内の公共的な施設(集落公民館、集落集会所、神社など)が避難所に転用されていた。このような地勢と避難行動と避難所形成の関係を検討することが大切である。孤立集落において重症患者が出ると、防災ヘリが孤立集落に来て救出活動を行っていた。これらの実態から、指定避難所の避難圏域よりも小さな零細集落単位の避難圏域の位置づけと、防災ヘリの離着陸場所の整備が求められる。 ③<情報の採取・伝達・対応の課題> 浸水により携帯電話中継基地が破壊される(住用町)ことは予想されなかった。また基本的問題である情報採取、情報伝達、情報内容への対応の過程が欠けると、情報が効果をもたない。情報機器を有効に活用する方策が必要であるが、基本的なことが不十分で被害が拡大する実態がある。通信ネットや避難所の公共施設に被害がないことを前提に立案された防災計画は、単線的な計画であり、もっとシビアな状況を想定して、第一の防災計画が破綻した場合は、第二計画に転換できるといった複線の計画系列に改良することが強く要請されている。
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Research Products
(2 results)