2012 Fiscal Year Annual Research Report
発掘遺構と神社建築を中心とする祭祀・祭政用建物の概念に関する研究
Project/Area Number |
23656374
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒田 龍二 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40183800)
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Keywords | 神社 / 祭祀 / 本殿 / 春日造 / 流造 / 出雲大社 / 古墳祭祀 |
Research Abstract |
最終年度も、成果のまとめというよりは、発展的な考察と資料収集に重点をおいた。 発掘遺構事例と祭祀に関する検討のなかで成果が上がったのは、2013年2月に発見された堺市ニサンザイ古墳後円部の構築物である。この古墳は全国で8番目の規模をもつ点でこの構築物は大きな意味をもつ。申請者の研究から橋と舞台として復元模型を作成し、新聞・テレビなどで広く報道された。この構造物から巨大前方後円墳の祭祀について全く知られていない祭祀が存在したことが明らかになった。 神社祭祀と建築に関しては、新しく春日大社と春日祭、上賀茂神社と葵祭の調査研究を行なった。これにより、春日大社の春日造本殿と賀茂社の流造本殿の性格を類推することができた。それは社殿における神のあり方の観念と関連すると考えられる。 出雲大社に関しては、今まで知られていた金輪造営図よりもいっそう古い中世の作成と推定される図面が発見され、大きな進展があった。金輪造営図の内容は中世以前に遡るものであり、。そこには今まで知られていない書込みがあり、造営のあり方に関する情報が得られた。 以上のような調査研究により、古墳・神社を通じて、共通する祭祀があったことが推定される。その共通性のもとで、神の常在、非常在の観念、つまりどのように神を迎えて祭祀するかという観念が、社殿や境内の建築構成に深く関わることが推定される。このような神観念の設定から、伊勢神宮と出雲大社のありかたはも共通の基礎にのせることができると考えられる。そのような手続きを経て、二社の神観念と建築のあり方は非常に特殊であることが指摘でき、その理由も推定可能と考えられる。発展途上ではあるが、上記のような有益な成果を得ることができた。
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