2012 Fiscal Year Annual Research Report
拡散反応場における結晶配向メカニズムの解明と高配向多結晶体の作製
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23656399
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 功一郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90189944)
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Keywords | 結晶配向 / 組織制御 / 反応拡散 / イオン伝導体 / アパタイト |
Research Abstract |
アパタイト型ケイ酸ランタンの酸化物イオン伝導度の向上を、結晶配向化とドーピングを併用することで達成した。セラミックスは結晶粒子の高配向化によってその機能が著しく向上する場合がある。研究代表者はLa2SiO5とLa2Si2O7から成る拡散対を空気中で加熱する簡便な方法で、過剰物な酸化物イオンを結晶格子間に含むLa9.50Si6O26.25のc軸が、接合界面に垂直に高配向(ロットゲーリング法による配向度は0.90)した結晶配向セラミックスの作製に成功した。アパタイト型ケイ酸ランタンの結晶構造内には酸化物イオン伝導経路がc軸に沿って存在するので、酸化物イオン伝導度が飛躍的に向上した。 今回の研究で結晶配向セラミックスの酸化物イオン伝導度を複素インピーダンス法で決定し、さらに単結晶X線回折法を用いて結晶構造を解明した。サンドイッチ型の拡散対La2SiO5/La2Si2O7/La2SiO5を作製し、不要な箇所を研磨して除去することで、板状の電解質を得た。c軸配向方向の酸化物イオン伝導度を723 K から1073 Kの範囲で求めたところ、温度の上昇に伴い2.0 × 10-2 S/cm から7.9 × 10-2 S/cmへ増加した。アレニウスプロットからイオン伝導に要する活性化エネルギーを求めると、0.35 eVであった。この値は、理論的に計算して求めた値(0.32 eV)と極めて良い一致を示しており、 予測された伝導経路が正しいことを初めて立証することができた。当該アパタイトは過剰な酸化物イオンを格子間に含んでおり、その結晶学的な位置が6h席(空間群P63/m)であることを初めて明らかにした。
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Research Products
(19 results)