2012 Fiscal Year Annual Research Report
極めて高い硬度と化学的耐久性をもつ有機・無機ハイブリッド薄膜の開発
Project/Area Number |
23656407
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
幸塚 広光 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80178219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 弘章 関西大学, 化学生命工学部, 助教 (10551319)
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Keywords | ハードコート / シリカ / ペルヒドロポリシラザン / 有機・無機ハイブリッド / 硬度 / 密着性 / コーティング / 薄膜 |
Research Abstract |
さまざまなプラスチック材料の中で、自動車のウィンドシールドガラスの代替材としてポリカーボネート(PC)が注目されているため、PC板のハードコート膜としての有機・無機ハイブリッド薄膜の開発が実用上とくに有意義であると考えた。そこで、ペルヒドロポリシラザン(PHPS)をシリカ源とする申請者の技術をPCのハードコート膜の作製に適用した。その結果、PC板にコートしたPHPS膜にアンモニア水上曝露処理を施すと、PC板の加水分解が進行し、PC板が不透明化して劣化することが判明した。 別途、ポリメチルメタクリレート(PMMA)板上ではこのような問題が起こらないこと、さらに、PMMA板上でのPHPS由来ハードコート膜が4H以上の鉛筆硬度をもちうることを実験的に確認し、PMMA層をPC板の保護層とすることにした。すなわち、湿式プロセスによりPC板表面をPMMAでコートし、その上にPHPSをコートし、アンモニア水上曝露処理によりPHPS膜をシリカ膜に変換した。その結果、PMMA層を保護層とすることによってPC板の劣化を防ぐことができ、透明なシリカ膜/PMMA層/PC板が得られることが判明した。 このようにして得られるシリカ膜/PMMA層/PC板試料について、クロスカット法によって膜の密着性を評価したところ、密着性は良好ではなく、赤外分光法を駆使することによって、剥離がシリカ膜とPMMA層の間で生じていることがわかった。そこで、シリカ膜とPMMA層の密着性に及ぼすPMMA分子量の効果を調べたところ、PMMA分子量が大きいほど密着性が高くなり、それは、ナノスケールでのPMMA層表面粗さの増大によるものであることがわかった。 以上の結果は、PHPSをシリカ源とするシリカ膜あるいは有機・無機ハイブリッド薄膜を、PC板のハードコート膜として利用できる可能性を示したものといえる。
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Research Products
(4 results)