2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノSiおよびGe材料を用いたバルクヘテロジャンクション構造形成と光電変換機能
Project/Area Number |
23656414
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 明 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40182901)
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Keywords | ナノSi / ナノGe / バルクヘテロジャンクション / 光電変換 |
Research Abstract |
近年,エネルギー環境問題の顕在化から太陽電池の普及が希求されているが,それに伴い結晶系の太陽電池においては、シリコン基板材料の需要供給の関係からの価格や資源の問題,また,薄膜系の太陽電池においては、気相のガスからの薄膜形成に由来する製膜速度や装置コストの問題が起こっている。そのため,ウェットプロセスにより作ることのできる有機色素増感太陽電池や有機バルクヘテロジャンク型薄膜太陽電池などの研究が精力的に展開されている。しかし,資源量,低毒性、環境負荷を考えた場合,シリコン系の薄膜太陽電池がウェットプロセスによって製造できることの意義は大きい。このため,塗布型のシリコン系太陽電池の開拓に対する機運が高まってきている。本研究では,ウェットプロセスによる無機バルクヘテロジャンクション型シリコン系太陽電池を目指して,Si微粒子,ゲルマニウムナノクラスターおよび酸化物半導体を用いた検討を行った。Si微粒子からなる太陽電池として,n-Si(0.1Ωcm)微粒子/Auシュットキーダイオード型太陽電池を作成し,その特性の検討を行ったところ,その変換効率は0.77%であった。光電流および光起電力のon-offサイクルにおいては良好な再現性が確認された。さらに,Si微粒子/酸化チタンナノ粒子からなるヘテロジャンクション型太陽電池においては1%をこえる変換効率が観測され,その変換効率にはSiのフェルミ準位の影響が顕著に現われた。 このようなSi微粒子からなる太陽電池における膜質の向上を目的として,レーザーシンタリングの検討を行った。レーザーシンタリングでよるSi膜の結晶性においては,照射レーザー光波長の影響が顕著に観測され,より長波長のレーザー光照射においてより歪の少ない結晶形成が起こることが示された。これはシリコン中のレーザー光の侵入長によって説明された。
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