2012 Fiscal Year Annual Research Report
不規則性の導入と緩和状態制御による金属ガラスの再生
Project/Area Number |
23656418
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
才田 淳治 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 准教授 (20359540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
譯田 真人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00550203)
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Keywords | 金属ガラス / 構造緩和 / 不規則生 / 機械的性質 / 構造制御 / 相変態 / シミュレーション |
Research Abstract |
平成24年度は以下の(1)および(2)の検討を行った。 (1) 局所不均質構造金属ガラスにおける緩和状態が諸特性に与える影響の調査 金属ガラスの緩和状態が機械的性質におよぼす研究についてはすでに23年度に報告した。24年度は相変態にどのような影響をもたらすのかをZr-Al-Ni-Cu-Pdガラス合金のナノ準結晶析出現象を対象に調査した。その結果、未緩和状態に近いほど核生成頻度の増大と粒成長速度の低下をもたらすことがわかった。この現象はガラス中に存在する二十面体局所原子配列の密度およびその規則度が緩和状態によって違うことに起因し、これが準結晶相生成において必要な熱力学的エネルギーの差をもたらすものと考察した。 (2)ガラス遷移現象を利用した未緩和ガラスの再生と機構解明 ガラス合金をガラス遷移温度直上で熱処理後、冷却する速度を変化させることで緩和状態をある程度制御することができる知見を、23年度の研究で得ている。24年度はこのような緩和状態制御によって実際に機械的性質に変化が現れることをZrやPdを主成分とする種々の金属ガラスについて調査し、明らかにした。特に未緩和状態に戻すことで、硬度が減少することが確認され、これは(1)の検討結果と一致する。分子動力学シミュレーションによっても一旦緩和させたガラス合金を再度ガラス遷移温度直上での熱処理と急冷によって未緩和な状態に再生(Rejuvenation)できることを、密度やエネルギー状態の解析から明らかにしている。 これらの結果を総合的に考察すると、緩和状態がガラス遷移温度直上での冷却速度によって支配されるという事実を用い、一旦緩和したガラス材料も再度ガラス遷移温度直上に加熱し、急冷することで未緩和状態に再生できることを実験、理論の両面で明らかにしたことを示し、当初の本研究目的を達成したと考えられる。
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Research Products
(5 results)