2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規パルスレーザー堆積法による深紫外発光素子の作製
Project/Area Number |
23656444
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 貴宏 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50400429)
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Keywords | パルスレーザー堆積法 / 深紫外発光素子 / フェムト秒パルスレーザー / 冷凍ターゲット |
Research Abstract |
本研究では,新規パルスレーザー堆積法(PLD法)を用いた深紫外発光素子の創製を目的とし研究を行った.本研究の遂行に必須と考えられる点は,デブリの排除と高エネルギー励起種の発生である。これらの課題に対して本研究では液体のボラジンを冷凍した冷凍ターゲットを用いること,数mJの高強度フェムト秒パルスレーザー光を用いることによって,高品質立方晶窒化硼素(c-BN)薄膜を作製し,ダブルレーザーアブレーション法によりc-BN薄膜への異種原子ドープを試みた. 本年度は,本研究で新たに製作したPLD法に液体ターゲットと高エネルギー励起種を組み合わせたPLD法のための専用チャンバーに対して,異種原子ドープのためのダブルレーザーアブレーションのための機構を構築した.二つのターゲットに対するレーザー照射は入射レーザー光をビームスプリッターにより所定の強度比となるように分岐したのちそれらに光路差を設けることで二つのターゲットへの照射タイミングをずらした.ダブルレーザーアブレーション法による薄膜への異種原子ドープは,まず冷凍ターゲットとしてベンゼン,異種原子ドープ用ターゲットとしてペレット状のホウ素を用いることでDLC薄膜へのホウ素ドーピングを行った.その結果,薄膜の深さ方向にホウ素が均一に分布したホウ素ドープDLC薄膜の作製に成功した. 一方,BN薄膜作製のためにボラジンターゲットを用いた製膜実験を試みたものの,ボラジンはベンゼンに比べて融点が低いため(215 K)現行のシステムでは真空下において安定な冷凍ターゲットを作製することが困難であることが分かった.これに対しては現在冷却機構の改良を進めており,改善後実験を行う予定である.
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