2012 Fiscal Year Research-status Report
チタンサブハライド混合溶融塩からのチタンの電解採取法の基礎的研究
Project/Area Number |
23656481
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
不破 章雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60139508)
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Keywords | チタン / 電析 / 電解採取 / 混合溶融塩 / 2塩化チタン / 新製錬 |
Research Abstract |
平成23年度に得られた結果を基にして、混合溶融塩の電解・Ti電析実験を主体的に行った。すなわち、TiCl2-KCl-NaCl混合溶融塩の電解を行い、混合溶融塩中のTi2+イオンの還元によるTi金属の電析を行った。電解実験は、混合溶融塩生成反応と同期的なTi電析を試みた。KCl-NaCl溶融塩中でカソードであるチタン板にTiCl4(g)接触することによって、連続的にTiCl2-KCl-NaCl混合溶融塩を生成し、直流電源を用いて定電圧電解した。実験変数を、供給濃度(TiCl4/Ar=0.029, 0.163, 0.390)とし、定位電圧電解を2.7Vで2h行った。結果として、供給濃度が高いと電流密度が高くなっていることがわかった。これは、TiCl2濃度が高いことによるものと考えられるが、一方、TiCl2濃度が高いので、TiCl4+TiCl2→TiCl3の反応が起り、Ti3+の電解が起こったとも考えられる。また、供給濃度が高い方が、電流密度が上下に激しく変動している傾向が見られた。これは、析出物の剥離と析出が繰り返し生じているものと考えられる。 析出物は、黒色粉末で灰色の金属光沢のある薄い箔も混ざっていた。析出物をXRDで分析したところ、析出物は主に金属チタンであるが、酸化チタンも生成されていることがわかった。これは、供給濃度の場合でも、同じような結果が得られた。原因として、析出物回収の処理に問題があったと考えられる。 析出量は、供給濃度がTiCl4/Ar=0.390のとき最も少なく、TiCl4/Ar=0.029, 0.163では析出量に差があまりなかった。SEM-EDSで観察したところ、析出物は、針状に析出していることがわかった。本年度の結果として、TiCl4供給濃度によって電流密度が変化し、供給濃度が低い時にTi析出物が多いことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
混合溶融塩の電解・Ti電析実験を主体的に行ったことで、本研究でのチタン電析が可能であることが確認でき、平成24年度の目的は達成されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに詳細な実験を行い、混合溶融塩生成反応および、電解・チタン電析反応に関する知見、結果を取りまとめる予定である。具体的には、チタンの析出電位測定や析出物の重量や塩素発生量からのカソード効率とアノード効率の算出などである。最終的には、成果の発表を学会等で行うのが目標である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画としては、主として、課題遂行に必要な物品購入費用、ならびに研究成果の開示のため学会出張費用と考えている。
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