2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656493
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
都留 稔了 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20201642)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | シリカ / 逆浸透 |
Research Abstract |
(1)アモルファス構造を制御したシリカ膜の創製:アモルファスシリカネットワークの細孔径制御技術として,構造化アルコキシドの利用を提案した。構造化アルコキシドとは,有機官能基がSi原子に直接結合したSi-C結合を有し,加水分解後も残存しゲル化する。本研究では,アルコキシドのSi原子数1個および2個以上の構造化アルコキシド,具体的には,(EtO)3Si‐R(R=CnH2n+1など)や(EtO)3≡Si-R-Si≡(OEt)3 (アルキレン基:R=CnH2nなど)を用いて,テンプレート法およびスペーサー法によりシリカネットワーク制御技術の確立を開発項目とする。加水分解・縮合条件として,溶媒種(エタノールンなど),出発組成(水/アルコキシド比(=1/1~100/1),アルコキシド濃度(0.5~5wt%),触媒種(酸(HCl),アルカリ(NH3))および触媒濃度,反応時間(1~24h)などについて詳細に検討し,製膜性の高いシリカゾルの調製条件および構造化アルコキシドのスクリーニングを行なった。(2) 気体および蒸気透過性評価と逆浸透特性評価:NaCl 2000ppmにおいて,RO膜の特性評価を行なった結果,1,2-bis(triethoxysilyl)ethane (BTESE)が優れた性能を示すことを見出した。透過機構解明のために,各種の操作条件(温度:0-80℃,圧力:0.1-1.5MPa,NaCl:2000-35000ppm)での透過特性(透過流束,阻止率)の測定行なった。BTESE膜は,高いNaCl阻止率(>99%),海水脱塩膜とほぼ同等の分画性(中性物質であるIPAに対する阻止率95.6%),および優れた耐熱性を示すことから,無機逆浸透膜の可能性を見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種のアルコキシドを用いた結果,BTESEが海水脱塩膜と同等の分画性能を示すことを見いだし,さらに優れた耐熱性を示すことも明らかとした。さらに,気体透過性と逆浸透特性を比較することで透過機構を明らかに出来たので。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に引き続き,計画的および精力的に研究を継続する。今後の課題としては,透過係数Lpは10-13オーダーであることから,水透過流束の向上が必要であり,以下の2点を新たに研究項目として追加する。(1)シリカ膜の作製:今回用いる構造化アルコキシドは主鎖あるいは側鎖に有機基を有するため疎水性を有し,水透過に必ずしも有利ではない可能性もある。そこで,TEOS(Si(OC2H5)4)混合による,表面特性およびネットワーク細孔の精密制御を計画しており,NaCl阻止率90%以上,純水透過係数 1x10-12 m3/(m2sPa)を達成させる。(3)逆浸透特性評価:逆浸透およびナノ濾過膜の分離機構には,分子篩だけでなく,電解質の場合は膜荷電との静電反発(Donnan排除)が重要となる。したがって,ネットワーク細孔の評価のためには,電解質だけでなく,中性溶質を用いた評価が必要不可欠である。各種の異なるサイズの中性溶質(アルコール,糖)を用いて,逆浸透実験を行い,Steric Hindrance Model (Tsuru et al., AIChE J. 2004, Langmuir 2010)を用いて,水溶液での細孔径も評価しマイクロポア透過機構を明らかとする。中性溶質の濃度測定には,購入予定の液体クロマトグラフ(示差屈折率分析)を用いる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に従い,計画的に使用してゆく。今年度は主に消耗品(試薬類,理化学用品など)への購入に使用し,製膜および透過性評価を加速的に行う予定である。
|
Research Products
(2 results)