2013 Fiscal Year Annual Research Report
広範な有機合成反応に活性を示す多機能メタルフリー窒素ドープ炭素触媒の開発
Project/Area Number |
23656499
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 正彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60125490)
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Keywords | 炭素 / 窒素ドープ / 表面処理 / 還元反応 / メタルフリー触媒 |
Research Abstract |
活性炭等の炭素材料の表面や構造内に存在する含窒素基や含酸素基の量や種類を調整すると触媒活性を示す。このようなメタルフリー炭素材料は,既存の希少で高価な金属ベース触媒の代替になることが期待される。本研究では,活性炭を窒素ドープ,酸化処理,還元処理で表面修飾した触媒をニトロベンゼン(NB),スチレン(ST),ニトロスチレン(NS)のヒドラジン還元に応用しその触媒性能・特徴を調べた。 市販の活性炭(AC)を原料として,アンモニア単独あるいはこれと空気の混合ガスによる窒素ドープ,過酸化水素水による酸化処理,ヒドラジンによる還元処理を施した種々の炭素触媒を調製した。表面の化学成分はX線光電子分光法(XPS)で調べた。 NBの水素化では,ACの触媒活性は還元処理すると低下したが,酸化処理あるいは窒素ドープでは逆に上昇した。XPSで求めたAC上の窒素種と酸素種の表面濃度と触媒活性との関係を調べたところ,活性は酸素種と窒素種の表面濃度の和と良い相関関係にあることが分った。炭素網面構造へヘテロ原子が導入されることに伴う周辺炭素原子の電子状態の変化が触媒としての機能を向上させたと推測した。炭素表面に生じた極性部分にニトロ基が吸着されやすくなるためと推察した。調製したいずれの炭素材料もSTの水素化には不活性であった。STは炭素表面に吸着しないと思われる。しかし,NSの還元には活性で,ニトロ基とビニル基の還元が認められた。炭素表面にニトロ基を介して吸着したNSのビニル基も還元される。このように炭素表面を窒素あるいは酸素で修飾した炭素は,基質選択的な還元反応に有効な触媒となることを見出した。得られた成果は2014年7月京都で開催される触媒化学の国際会議TOCAT7で発表する。
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Research Products
(4 results)