2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23657148
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高岡 勝吉 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (90551044)
|
Keywords | 極性 / 着床前胚 / エピジェネティクス / インプリンティング / 転写 |
Research Abstract |
ショウジョウバエを含む多くの生物は、卵子の段階で、bicoidなどの母性効果遺伝子のmRNAが非対称分布し、bicoidタンパクが濃度勾配を形成することで、後の形態形成の基盤となる最初の分子レベルでの極性を獲得している。対して、我々ヒトやマウスといった哺乳類は、受精卵の初期段階で非常に高い適応能を有することから、受精卵の初期段階では胚全体の極性はないと考えられている。例えば、4細胞期のマウス胚の割球をばらばらにしても、それぞれ別々の完全な個体として生まれてくるが、8細胞期の胚では個体になることができない。すなわち、4細胞期から8細胞期にかけて、割球ごとの全能性が消失し、胚全体として極性を獲得している。以上より、マウス胚では4~8細胞期において最初の胚全体としての個性を獲得していると予想される。しかし、これまでの研究では、解析手段がなかったため、この最初の極性獲得という現象の実体は未知であった。 研究代表者は、これまでにLefty1上流に存在するエンハンサー(Lefty1 First polarity Enhancer, LFE)とlacZを用いたトランスジーン(Tg, LFE(lacZ))が、8~16細胞期特異的に胚の片側で発現するということを発見した。このLFEと、DsRed2やVenusを用いたトランスジェニック胚(LFE(DsRed2)、LFE(Venus))でも同様の発現パターンが見られたことから、Tgが偶然挿入されたゲノム領域に関係なく、LFE領域だけに依存することがわかった。現在、エンハンサー解析により、このエンハンサー領域が再現する生体内の現象を明らかにしつつある。
|
Research Products
(6 results)