2012 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマローゲンによる脳神経細胞死抑制作用の分子機構
Project/Area Number |
23658103
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮澤 陽夫 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20157639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲川 清隆 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80361145)
木村 ふみ子 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50321980)
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Keywords | プラズマローゲン / 認知症 / LC-MS/MS / 動物実験 / 細胞実験 |
Research Abstract |
本研究はプラズマローゲン(Pls)の脳神経細胞死抑制作用について、細胞実験、機器分析、動物実験を用いて解明することを目的として実施し、昨年度は細胞実験によりPlsの脳神経細胞アポトーシス抑制作用の証明を行うとともに、LC-MS/MSによるPls分子種の生体組織と食品中の分析法を検討した。 本年度は、昨年度の研究で作成されたアルツハイマーモデルラットを用い、アミロイドβによって引き起こされるモデルラットの空間認知力の低下が有意に抑制されることの確認を行った。すなわち、ほやよりDHAを高含有含むPls(マリンPls)を抽出し、食品由来DHA含有Plsのラットへの経口投与実験を行い、アルツハイマーモデルラットでの空間認知力抑制に対するPlsの改善作用について調べたところ、Plsの経口投与がアルツハイマーモデルラットでの空間認知力を向上させることを明らかにした。さらに、アルツハイマーモデルラットの脳中のPls含量および脂肪酸組成を測定したところ、Plsの経口投与による脳中のPlsの上昇は見られなかったが、脳のDHA含量が増加した。また、正常ラットへのPls経口投与試験を行い、血漿と赤血球膜のDHA含有Pls濃度を非投与ラットと比較したところ、Plsの経口摂取により、血中のPls濃度が上昇したことを明らかにした。 以上、本研究により、Plsが神経細胞の保護機能をもつことが証明され、アミロイドβ凝集阻害活性をもつのは多価不飽和脂肪酸を2位にもつプラズマローゲンであり、海産物、特にホヤにはDHA高含有プラズマローゲンが豊富に含まれていることを明らかにした。さらに、このホヤ由来プラズマローゲンをアルツハイマーモデルラットに経口投与し、空間認知力の向上を明らかにした。この結果より、プラズマローゲンの神経細胞保護機能が、生体でも期待できることが示唆された。
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Research Products
(2 results)