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2013 Fiscal Year Research-status Report

線虫の採餌本能を利用したカロテノイド産生菌からの強力な抗酸化物質の探索法の確立

Research Project

Project/Area Number 23658115
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

齊藤 毅  京都大学, 原子炉実験所, 助教 (10274143)

Keywordsカロテノイド / 電離放射線 / 生体防護機構 / 脂質損傷
Research Abstract

当研究の目的はカロテノイド等の生体に対し有用とされる物質による電離放射線などのストレスに対する生体防護機構を解明し、もって種々のストレスに対する高い生体防護活性を有する物質の探索法の開発に有意義な知見を提供することである。
カロテノイドは脂溶性物質であり、生体内においては細胞膜等脂質部位に局在している。このことより、生体内においてカロテノイドは各種ストレスによる細胞膜等に存在する脂質の損傷に対して防護的に機能するという生体防護機構が考えられる。しかし、電離放射線照射による脂質損傷に対する知見は乏しく、さらに電離放射線照射による脂質損傷に対するカロテノイドの影響に関してはほとんど報告がなされていない。
昨年度までに、リノレン酸ベンゼン溶液へのγ線照射によるリノレン酸の酸化的分解反応における線量―効果関係をリノレン酸の酸化的分解生成物であるmalondialdehyde量を指標に解析し、さらに特定濃度範囲のカロテノイドがその反応を抑制することを明らかとした。本年度はγ線照射による脂質の過酸化反応に対するカロテノイドの影響を解析するため、γ線照射によるリノレン酸の過酸化量を生成共役ジエン量を指標に定量しその線量―効果関係を求めた。さらに、カロテノイド存在下、非存在下でリノレン酸に対しγ線を照射し、各実験条件下における生成共役ジエン量を比較検討した。その結果、γ線照射によるリノレン酸過酸化反応においては、カロテノイドによる有意な影響は認められなかった。これらのことより、カロテノイドは脂質の過酸化反応ではなく酸化的分解反応を抑制することにより電離放射線による生体脂質損傷に対して防護的に機能することが示唆された。本研究で得られた結果は、電離放射線等ストレスに対するカロテノイドによる生体防護機構の解明、および高い生体防護活性を有する物質の探索に対し有意義な知見を与えると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当研究の目的はカロテノイド等の生体に対し有用とされる物質の電離放射線などのストレスに対する生体防護機構を解明し、もって種々のストレスに対する高い生体防護活性を有する物質の探索法の開発に有意義な知見を提供することである。
本年度までに基本的生体脂質であるリノレン酸のベンゼン溶液に対するγ線照射による脂質損傷反応において、カロテノイドは脂質過酸化反応には影響を与えないが、酸化的脂質分解反応に対しては特定濃度範囲において抑制的な効果を示すことを明らかとしてきた。これらのことより、生体中においてカロテノイドは脂質の過酸化反応ではなく酸化的分解反応を抑制することにより電離放射線による生体脂質損傷に対して防護的に機能することが示唆された。この結果は、電離放射線等ストレスに対するカロテノイドによる生体防護機構の解明、および高い生体防護活性を有する物質の探索に対し有意義な知見を与えると考えられる。このように当研究は当初の目的に対して一定程度の達成度を得ていると言える。しかし、研究が進展するに伴い、カロテノイドは電離放射線等ストレスによるタンパク質損傷や遺伝子発現にも影響を与える可能性があることが明らかとなってきた。こららのことを考え合わせると当研究の目的を達成するためには、電離放射線等ストレスによるタンパク質損傷、遺伝子発現状態、およびリポソームもしくはミセル等生体膜モデル系における脂質損傷に関して解析を行い、さらにそれら損傷に対するカロテノイドの影響に関して解析を行うことが重要であると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

生体への電離放射線等ストレスの曝露により脂質のみならずタンパク質も損傷を受け、また種々の遺伝子の発現状態も変化する。今後は代表的なストレスとしてγ線を使用し、γ線照射によるタンパク質の損傷状態をLC-MS、免疫組織染色などの方法により、そしてγ線照射による種々の遺伝子の発現状態の変化をPCR法により解析する。次に、γ線照射によってもたらされた各状態変化に対して各種カロテノイドがどのような影響を与えるかに関して解析検討する。さらに、これまでに行っていた脂質損傷解析系よりもより生体に近いリポソームもしくはミセル等生体膜モデル系において各種カロテノイドがγ線照射による脂質損傷反応に対してどのような影響を与えるかに関しても解析を行う。そして、全ての結果を統合し電離放射線等ストレスに対するカロテノイドによる生体防護機構について考察を行い、高い生体防護活性を有する物質の探索、および抗酸化機能性食品等の開発に対して有益な情報を提供する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当研究の目的はカロテノイド等の生体に対し有用とされる物質による電離放射線などのストレスに対する生体防護機構を解明し、もって種々のストレスに対する高い生体防護活性を有する物質の探索法の開発に有意義な知見を提供することである。この目的に沿って研究を行ってきたが、研究の進展に伴い、カロテノイドは電離放射線等ストレスによるタンパク質損傷や遺伝子発現にも影響を与える可能性があることが明らかとなってきた。そこで、電離放射線等ストレスによるタンパク質損傷、遺伝子発現状態、およびリポソームもしくはミセル等生体膜モデル系における脂質損傷に関して解析を行い、さらにそれら損傷に対するカロテノイドの影響に関して解析を行う必要が生じた。本年度までにそれらの解析の準備を進めており、補助事業期間延長承認申請も行い認められたところである。
次年度はカロテノイドによる電離放射線等ストレスに対する生体防護機構の解明のために、γ線照射による脂質損傷に対するより詳細な分析、γ線照射によるタンパク質損傷に対する分析、およびγ線照射細胞における遺伝子発現状態の分析を行い、さらにそれらに対するカロテノイドの影響を解析し比較検討することを計画している。当助成金は、これらの分析実験と解析に必要な試薬類、プラスチック器具類、ガラス器具類の購入、および成果発表のために使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] Effects of carotenoids on damage of biological lipids induced by gamma irradiation2014

    • Author(s)
      Takeshi Saito, Noriko Fujii
    • Journal Title

      Radiation Physics and Chemistry

      Volume: 98 Pages: 57―63

    • DOI

      10.1016/j.radphyschem.2014.01.009

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] γ線照射によるγ-クリスタリン中のアミノ酸残基の酸化2014

    • Author(s)
      金 仁求、高田 匠、齊藤 毅、藤井智彦、金本尚志、藤井紀子
    • Organizer
      生命の起原および進化学会 第39回学術講演会
    • Place of Presentation
      広島修道大学
    • Year and Date
      20140313-20140315
  • [Book] 環境と微生物の事典. 日本微生物生態学会編 (分担 項目102「放射線と微生物」)2014

    • Author(s)
      齊藤 毅
    • Total Pages
      印刷中
    • Publisher
      朝倉書店

URL: 

Published: 2015-05-28  

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