2013 Fiscal Year Research-status Report
口蹄疫研究への応用を目指したサロゲートウイルスの作出
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23658252
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀本 泰介 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00222282)
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Keywords | 口蹄疫 / レセプター / インテグリン |
Research Abstract |
2010年、宮崎県に発生した口蹄疫ではウイルスの侵入経路と拡大様式が不明であり、科学的な防疫対策の確立までは至っておらず、今だ発生の見られる世界の状況を見ても、今後再び日本で口蹄疫が発生する危険性がある。一方、感染の拡大には何らかの野生動物が関与する可能性があり、特にシカやイノシシなど偶蹄類の野生動物に対するウイルス感受性のデータは、今後の防疫対策に欠かせない知見となる。しかし、感染実験など感染性ウイルスを扱う全ての実験には動物衛生研究所の高度封じ込め施設が必要であり、それが口蹄疫研究進展の大きな障害となっている。 本研究では、非感染性の口蹄疫代替サロゲートウイルスを構築し、口蹄疫ウイルスの野生動物に対する感受性評価を最終目的とする。その成果は、口蹄疫研究のブレイクスルーになるとともに、防疫対策の構築に大いに貢献するものと期待される。 本年度は、国内の野生シカの臓器サンプルを入手し、口蹄疫ウイルスの細胞レセプターであるインテグリンファミリーをコードする遺伝子の解析を実施した。その結果、口蹄疫ウイルスの主要レセプターとされるインテグリンalpha V、beta 6、およびbeta 8の全長塩基配列の決定に成功した。その他、インテグリンbeta 3も部分塩基配列を決定した。他の動物種との相同性解析により、シカのインテグリン遺伝子は口蹄疫ウイルスの感受性動物である偶蹄目のグループに属することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野生動物の新鮮臓器材料の入手が困難であったため、RT-PCR法によるシカインテグリン遺伝子の増幅がなかなかうまくいかなかった。さらに、未同定の遺伝子の増幅のためのプライマーの選択に時間を要した。また、解析機器の損失が伴ったため、研究の進行に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
塩基配列の決定に成功した様々なシカインテグリン遺伝子の全長を発現ベクターに挿入し、培養細胞上で恒常発現させる。それら発現細胞を用いて、牛ライノウイルスの増殖性を解析し、口蹄疫ウイルス研究のためのサロゲートモデルになりうるかどうかを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
同じ研究室に所属していた教員の他大学への異動に伴い、本研究の遂行に必須であった機器類(遺伝子増幅装置、純水製造装置)が持ち出されたため、研究の実施が困難になった。そのため他の研究室からの借用により研究を継続しているものの、全般的に実験の進度が遅延し、その結果、研究費に未使用分が生じた。 残りの研究の継続および結果の取りまとめを次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとする。
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Research Products
(1 results)