2011 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病の猫が発現する抗酸化蛋白質を主眼とする糖尿病合併症予防法の確立
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23658259
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松木 直章 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40251417)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 猫 / 糖尿病 / 抗酸化能 / ハプトグロビン / 糖尿病合併症 |
Research Abstract |
本年度は、糖尿病に罹患した猫の血液中に現れる抗酸化たんぱく質の同定を主眼とした研究を実施した。健康猫4例と糖尿病罹患猫8例を用いて、血清蛋白をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動を用いて解析した結果、健康猫の血清には少量しか発現せず、糖尿病猫の血清のみに多量に発現するたんぱく質のバンドを得た。このバンドをMALDI-TOF-質量分析法にて解析した結果、有力な候補として「ハプトグロビン」が得られた。さらに、抗ネコハプトグロビン特異的抗体を用いたウエスタンブロッティング法、さらにネコハプトグロビン測定系(ELISA)による測定データから、糖尿病罹患猫の血液中にハプトグロビンが強く発現し、さらにハプトグロビン量と血清抗酸化能が強く相関することが裏付けられた。すなわち、糖尿病の猫の血清中に発現する抗酸化たんぱく質はハプトグロビンであると考えられた。 ハプトグロビンは哺乳類の肝臓で合成され、血液中に放出され、血清蛋白のβグロブリンの主要な部分を占める。ハプトグロビンは赤血球から遊離したヘモグロビンをトラップし、遊離したヘム鉄による臓器への酸化毒性を抑止すると考えられている。そこで、健康猫ならびに糖尿病罹患猫の血清におけるハプトグロビン-ヘモグロビン複合体を定量したが、糖尿病猫に特異的な変化・変動は認められなかった。猫ではハプトグロビンは主要な炎症性たんぱく質のひとつであり、糖尿病だけではなく、さまざまな糖尿病併発症にもその発現が影響されることが考えられるので、今後は糖尿病そのものと、併発症によるハプトグロビンへの影響を切り分ける必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
糖尿病に罹患した猫の血清に現れる抗酸化たんぱく質がハプトグロビンであると明確に同定されたことで、本研究計画の半分は達成された。今後はこのネコハプトグロビンにターゲットを絞り、その蛋白質性状解析に注力可能である状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、糖尿病に罹患した猫の血中に優位に発現するハプトグロビンの性状解析に注力する。すなわち、遊離ヘム鉄の捕捉能、さらにハプトグロビン自体の抗酸化能力、ヘモグロビンとの複合体形成について解析するとともに、ヒト・イヌならびに他種動物のハプトグロビンの性質との比較検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究では、猫のハプトグロビンを分離精製することが大きな役割を占める。ヒト型ハプトグロビンとは異なり、猫のハプトグロビンは市販されていないため、猫の血液から分離精製する必要がある。このためにはゲルろ過のカラム担体など、一定の消耗品費が必要となる。また対照とするヒト型やイヌ型のハプトグロビンは試薬として購入予定である。研究費の用途はこのような消耗品費に限られ、固定設備、旅費あるいは人件費への支出は予定していない。
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