2012 Fiscal Year Annual Research Report
負イオンではいけませんか?プロテオミクスの本質的問題点の克服を意図した挑戦
Project/Area Number |
23659016
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大江 知行 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10203712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 貴章 東北大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (40344684)
李 宣和 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60519776)
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Keywords | 分析化学 / プロテオミクス / 質量分析 / 負イオン / 化学修飾 |
Research Abstract |
【研究の目的】 本研究では、質量分析(MS)におけるペプチドの負イオン化条件を精査し、そのイオン化・フラグメント特性を戦略的に活用した新技術、即ち『次世代型プロテオミクス』の創生を目的とする。マトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、 エレクトロスプレーイオン化(ESI)法などのソフトイオン化法は、質量分析法(MS)によるタンパク質解析を可能とした。しかしながら、そのイオン化は、専ら酸性条件下の正イオン生成に限られ、ペプチドを敢えて積極的に負イオン化して解析する発想は国内外、例が無かった。しかし、正イオン検出を用いる限り、『定量分析に不向き』、『同定信頼性が低い』、『翻訳後修飾解析が困難』などの問題が避けられない。そこで、負イオンの積極的な活用という発想の転換のもと、以下研究を行い成果を挙げた。 【研究成果】 1. MALDIにおける負イオン検出の検討および活用:前年度確立した、感度・再現性よく正・負両イオンを生成するMALDI条件を用い、これと複数のプロテアーゼを用いる新規タンパク質同定法を開発した。本法が、ペプチドの検出効率を著しく向上させ、タンパク質の同定精度を著しく改善する事を明らかにした。本法をヒト血清アルブミン(HSA)の精密解析に応用した所、100%の配列カバー率が可能であり、HSA上の網羅的化学修飾解析に活用できる事も見出した。 2. ESIにおける負イオン検出の検討および活用:•各種化学修飾ペプチド(酸化、糖化、脂質化、薬物付加など)を調製し、これらのフラグメンテーションを精査した。負イオンにおいて、化学修飾ペプチドから特徴的フラグメンテーションが効率よく見られる事を明らかにした。特徴的なフラグメンテーションをパターンする事により、化学修飾ごとのスクリーニングを容易にする技術を開発した。
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Research Products
(10 results)