2012 Fiscal Year Annual Research Report
13C直接検出法を用いた高分子量天然変性タンパク質の構造解析技術開発
Project/Area Number |
23659024
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
楯 真一 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20216998)
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Keywords | 過渡的構造形成 / 13C検知 / 安定同位体 / NMR / 天然変性タンパク質 |
Research Abstract |
昨年度の時点で研究対象を変更して,酵母基本転写因子tfa2bを対象とした.1H検知タイプの3重共鳴法特にHNCANNHおよびHN(CA)COを利用する15Nあるいは13C=Oを中心とした主鎖帰属を進める一方で,13C検知タイプの3重共鳴法により主鎖シグナルの完全帰属を終えた.13Ca,13Cb,13C',15N,1HN,1Haの主鎖の化学シフトを用いて,化学シフトデータベースにより2次構造存在率の計算を行った.3つのhelix構造の存在が確認されたが,いずれも10~15%程度の低存在率の構造形成であることが分かった.過渡的に構造形成していることが予測される.残余双極子効果RDCを用いて,過渡的な構造形成状態をRDCの値として観測することを試みた.PEGを分子配向メディアとして利用してRDCを測定した.その結果,低存在率のヘリックス構造をを持つ部位に明らかなRDCが観測され,過渡的な立体構造形成をしていることが分かった.3つのヘリックス構造のコアに存在する疎水性アミノ酸残基に変異を入れることで生じる過渡的構造形成の変化を観測した.13C検知した3重共鳴法により変異体の帰属を行った結果,最もN末端部にあるヘリックス構造のみが存在率に変化をうけた. 化学架橋剤を使った実験から,tfa2bはホモ二量体を形成することが分かっているが,このN末端部のヘリックス構造が崩れると2量体構造ができないことが分かった.アミノ酸配列的には,この第一ヘリックスにはLeu-zipper様の配列特性があるために,第一ヘリックス間を介して2量体形成することにより,同時にヘリックス構造が誘導されると考えられる. 13C検知型3重共鳴法を導入することで,曖昧さ無く安定な構造を持たないtfa2bタンパク質の主鎖帰属を完了し,さらに主鎖の化学シフトに基づいて過渡的に構造形成される得意な性質を定量的に議論できた.
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Research Products
(19 results)