2011 Fiscal Year Research-status Report
MRIを活用する移植細胞トラッキング技術開発と細胞治療評価システムの構築
Project/Area Number |
23659025
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
國安 明彦 崇城大学, 薬学部, 教授 (90241348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 俊範 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (40274724)
寺沢 宏明 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (10300956)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | MRI / 細胞トラッキング / 13C / 再生医療 |
Research Abstract |
細胞移植治療の術後評価に有用な安全かつ長期的な細胞トラッキング技術の開発を目的とし、7テスラ(7T)-MRI装置を活用し、安定同位体13Cを用いた細胞標識法による移植細胞イメージングを行った。その結果、時間はかかったが、明確な13C-MRI画像を得ることに初めて成功した。以下に、その概要を記す。1.7T-MRI装置による13C-MRI撮像環境の整備:7T-MRI装置(Bruker社BioSpec70/20)による13Cシグナル撮像を13C標識メチオニン溶液を「ファントム」として用いて行った。コイルは、装置付属の13C/1H共用表面コイルを用いた。各種測定モードを検討した結果、13Cケミカルシフトイメージング(CSI)において約1時間の積算を繰り返すことで平面像を取得できた。一方、13Cファストスピンエコーおよび13Cグラージェントエコー法での画像取得はできなかった。2.13Cメチオニン標識グリオーマ細胞の移植と13C-MRI撮像:13Cメチオニンを含む10%FCS, DMEM培地でグリオーマ細胞U98を細胞密度10%から80%になるまで培養した。細胞を回収後、マトリジェルに混ぜてヌードマウス皮下に移植した。2日間飼育することで細胞を定着させた後、移植部位に表面コイルをあてCSIモードで13C-MRI撮像を行った。14時間の積算測定を行った結果、13Cメチオニンで培養した細胞を移植した部位が明確に画像化できた。対照として非ラベル体のメチオニンで培養した細胞では、全くシグナルは観察されなかったことより特異的シグナルであることが確認された。また、13C標識チミジンを取込ませたグリオーマ細胞の調製はチミジンブロックによる増殖抑制のため、測定に必要な細胞数が得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り、13C標識細胞の調製については、おおむね順調に進んだ。しかし、撮像パラメーターの設定および装置オペレーションに手間取ったためかなりの時間を費やしてしまった。13C標識細胞のMRI撮像ができたことは大きな進展であったが、当初の実験計画を順調に進めるには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、1Hに比べてはるかに弱いシグナル故に画像化が不可能と言われていた13Cにおいて、画像取得できることを実証した。しかし、再生医療で実用化できる細胞トラッキングには画像取得時間がかかりすぎる。よって、大幅な測定時間の短縮が必要であり、その実現には表面コイル感度改良が必須と言える。幸いにも熊本大学において、平成24年度に高感度コイルであるクライオプローブの導入が計画されている。そこで、新システムにおけるMRI撮像条件の決定を重要課題と位置づけて本研究を進める。 また、昨年度実行できなかった各種細胞の13C標識についても早い段階で検討を行い、導入率の高い培養条件を確率する。そして、クライオプローブでの撮像条件が確定次第、マウスへの移植と13Cイメージングを行い、本研究課題を完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の目標達成には、使用するコイルの感度上昇がカギといえる。検討過程で、使用するMRI装置にクライオプローブの導入が予定されていることがわかった。そこで、共同研究者である熊本大学・寺沢の平成23年予算を繰り越し、平成24年度との予算と合わせて、クライオプローブの立ち上げ費用として運用する。 その他の経費については、当初の計画通りに使用し、本研究の完成を目指す。
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