2012 Fiscal Year Annual Research Report
高選択的速度論支配ペプチド結合形成反応を基盤とするタンパク質化学合成法の開拓
Project/Area Number |
23659055
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大高 章 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20201973)
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Keywords | タンパク質合成 / チオエステル / アシル転移 / 速度論的反応 / NCL |
Research Abstract |
Fmoc法によるペプチドチオエステル合成法の開発の過程において、チオエステル等価体として機能するN-sulfanylethylanilide (SEAlide)ペプチドを開発した。当初、SEAlideペプチドは、酸性条件下においてチオエステルへ変換が可能であるとの基礎実験データーを得ていた。これに基づきSEAlideペプチドの性質をさらに詳細に検討したところ、SEAlideペプチドは酸性条件下においてチオエステルへ変換するという操作を必要とせず、リン酸緩衝液中においてN末端システインペプチドとのNCL反応に関与できるという予期せぬ結果を得た。これは、本研究課題の中心である速度論的反応を確立する上で極めて重要な実験事実であった。すなわち、通常のペプチドチオエステル(Fr1)、N末端システインSEAlideペプチド(Fr2)、N末端システインペプチド(Fr3)の3種類を用意する。まず、リン酸塩が存在しない条件でFr1とFr2のNCL反応を行うとSEAlide部分はアミド型を保ったまま、Fr1+Fr2の縮合物が完成する。次いで、この反応溶液にリン酸緩衝液に溶解したFr3を添加すると、Fr1+Fr2のSEAlide部分がチオエステルとして機能し、2段階目のNCL反応が円滑に進行するという事実を見出した。これは、速度論的なOne-pot/sequential NCL法であり、タンパク質合成に極めて有用な方法論となるものである。本研究では最後にこの手法を用いて162残基からタンパク質の合成に挑戦し、合成に成功するという結果を得た。
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Research Products
(31 results)