2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659096
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
瀧原 義宏 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安永 晋一郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (50336111)
白井 学 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子生物学部, 研究員 (70294121)
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Keywords | 再生医学 / ポリコーム複合体 / Geminin / 心臓幹細胞 |
Research Abstract |
研究室ではマウスポリコーム遺伝子群の一つRae28/Phc1のノックアウトマウスを作製することによって高等哺乳動物においては、ポリコーム遺伝子群が転写調節機能を介して発生を制御するだけでなく、細胞の増殖と分化を同時に制御しているGemininに対するE3ユビキチンリガーゼとして機能することを見つけるとともに、造血幹細胞等の幹細胞ではGemininの発現が高く、その活性制御にGemininが重要な役割を果たしていることをはじめて明らかにした。そこで、本研究ではポリコーム複合体の機能をさらに詳しく明らかにするとともに、Gemininの発現動態に注目し、心臓内に存在する心臓幹細胞を同定することを目指した。ます、ポリコーム複合体が転写制御とプロテアソームを介した直接的なタンパク質の安定性制御を介して、Gemininの発現を一定の恒常性を保ちつつ調節していることを明らかにした。そして、心臓発生においてはPcgf5を含んだ新たなポリコーム複合体が機能していることを示すとともに、心筋においてGemininが高発現している細胞群が存在することを見つけた。これらの細胞群は心室や中隔にも散見されるが、他の研究室から心臓幹細胞が存在すると報告されている心房に最も多く存在することが解った。また、心筋は成体では分裂しないと考えられているが、S期の細胞ではGemininの発現が高いことから細胞周期に入った細胞の可能性もある。従って、同定したGemininを高発現した細胞の正体については今後さらに詳しい解析が必要と考えられた。また、ポリコーム複合体が高発現した心筋ではアポトーシスが誘導され心筋が脱落することによって拡張型心筋症を発症することが解った。従って、心筋維持にもGemininが重要な役割を果たしていることが推測され興味深い。
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