2011 Fiscal Year Research-status Report
一般人口および発達障害児における日本版CU特性スクリーニング尺度の開発
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23659359
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
長田 洋和 専修大学, 人間科学部, 教授 (00365842)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CU特性 / 発達障がい / 破壊的行動 / 非行 / 早期発見 / 早期介入 / 国際情報交流 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
当該年度は,当初の計画通り,わが国の発達障がい児における反社会的な問題行動にどのようなものがあるかを,専門家よりヒアリングをし,CU特性調査票 (Inventory of Callous-Unemotoinal Traits: ICU) が開発,実用されているアメリカの状況との比較を行った.アメリカでは,アメリカ精神医学会がDSM-5の素案を作成している中で,すでに,CU特性を「注意欠如および破壊的行動障害」の診断基準の中に盛り込むことが決まっている一方で,わが国では,CU特性は発達障害の専門家の間にすら広まっていないことが明らかになった.ただ,アメリカ同様に,何らかの発達障害の診断を受けている児の中には,就学前から大人に対して過度に反抗的であり,他児に対して暴力的で,物を破壊するうような行動が目立つものが散見されていることが確認された.これらの児を縦断的にフォローした体系的な研究は,わが国では行われていないが,あるいは,これらの児の中に,CU特性を有するものが含まれるのではないかという知見を得た. 当初のICUは,児本人用,親用,教師用が開発されていたが,加えて,就学前児に対する親用,および教師用が新たに追加された事を受け,本研究でも,これら2つの尺度の日本語版の開発を行う事になった.本年度は,これまでのヴァージョンに加え,新たに2つの尺度の邦訳を行った.原版開発者のFrick博士のホームページ上で,ICUの日本語版に関しては,本研究代表者(長田)が窓口であることが改めて公表された(http://psyc.uno.edu/Frick%20Lab/ICU/ICU%20Translations%209-16-2011.pdf). 来年度へ向け,実際にICU日本語版を,都内の幼保育園,小学校,さらには矯正施設において実施するため,研究倫理審査会の出席を含め,作業を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CU特性調査票 (Inventory of Callous-Unemotoinal Traits: ICU)日本語版を開発し,有用性を確保する目的に関しては,当該年度は,新たに加わった2つの尺度の邦訳が完了したことで,まずは,順調に進んでいるものと思われる.また,実際に,わが国での発達障害児の中に,CU特性を有する児が存在することが確認できたのは,実際に元現場で ICU日本語版によって調査をする意義が示されたものと思われ,「概ね順調に進展している」と評価できるものと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
都内の幼保育園,小学校,中学校,高等学校に対して,CU特性調査票 (Inventory of Callous-Unemotoinal Traits: ICU)日本語版の実施を依頼し,回収したデータを統計的に解析する.これにより,ICU日本語版の信頼性,妥当性を含めた有用性が確保されると思われる. さらに,23年度は,発達障害の専門家よりCU特性に関するヒアリングを行ったが,24年度は,非行,犯罪心理学を専門とする研究者に,ヒアリングを行い,触法少年へのICU日本語版の実施,およびスクリーニングの可能性を探る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
非行,犯罪心理学の専門家の専門知識提供に対しての謝金が発生する.さらに,都内,幼保育園,小学校,中学校,および高等学校でのCU特性調査票 (Inventory of Callous-Unemotoinal Traits: ICU)日本語版の実施に際して,研究概要説明および研究協力依頼文書,およびICU日本語版の送付,回収のための郵送費が発生する.また,一連の発送回収作業に対して,アルバイトによって行う事を予定しており,人件費も発生する.
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