2012 Fiscal Year Research-status Report
ゾレドロネート投与と発熱およびサイトカイン産生に関する検討
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23659378
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
毛利 久継 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (50397212)
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Keywords | ゾレドロネート / 発熱 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
ビスフォスフォネートは破骨細胞の活性を選択的に阻害し,転移性骨腫瘍に伴う骨折などの骨関連事象の頻度を軽減させる働きを有する.ビスフォスフォネートは低カルシウム血症や肝障害などの副作用を有するが、最も頻度の高い有害事象は発熱であり、しばしば臨床的に問題となる.ゾレドロネートはより強力な第3世代ビスフォスフォネート製剤である.今後ビスフォスフォネート系薬剤の中でも中心的な役割を果たしていくと推察される.ただし国内臨床試験で最も高頻度にみられた副作用はやはり発熱(14例、53.8%)であり、従来のビスフォスフォネート系薬剤と比較しても高率である.ゾレドロネート投与の対象となるのは骨転移を有する患者、あるいは腫瘍の副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)産生により高カルシウム血症をきたしている患者であり、一般に癌種を問わずかなり進行した状態であることが多い.進行癌患者は易感染状態であり,ゾレドロネート投与後に発熱をきたした場合、感染症と極めて鑑別が困難である.発熱はQOLを損ね,食欲不振,全身倦怠感などが深刻となる場合も多く経験される.そこで本研究では、ゾレドロネート投与後に生じる発熱の機序を,血清および血球の炎症性サイトカイン発現を検討することで明らかにし、発熱発生を予測しうるシステムを開発する研究を計画した.転移性骨腫瘍を有する患者よりゾレドロネート投与前に血液を採取、単核球を分離し、ゾレドロネート刺激を与え、24時間後に細胞および上清を回収し凍結保存している.またゾレドロネートを投与した患者の24時間後にも採血を行い、血清および単核球を分離し凍結保存を行っている.2012年度までに目標であった10症例のサンプルを集積を終了した. 内訳は膵癌4例、肺癌2例、胃癌1例、原発不明癌2例、心臓原発平滑筋肉腫1例と多岐にわたる.臨床的には9例で発熱がみられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標症例のサンプル集積は達成されたが、解析が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
培養上清中の炎症性サイトカイン(IL-1β, IL-6, IL-8, TNF-α, IFNs)および抗炎症性サイトカイン(IL-1RA, IL-4, IL-10, IL-13)濃度をELISA法で、細胞内のmRNA発現をRT-PCRで検討し、ゾレドロネートにより誘導される因子を同定する。またゾレドロネートを投与した患者の24時間後のサンプルを用い、血清中の上記炎症性サイトカイン濃度や単核球中のmRNA発現をRT-PCRで検討する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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