2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトハプロイド細胞を用いた遺伝子トラップ法による脂質異常症治療法の開発
Project/Area Number |
23659469
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾野 亘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00359275)
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Keywords | 遺伝子トラップ / ハプロイド / マイクロRNA |
Research Abstract |
初年度からの検討により、GFP-miR-33 decoyとDs-Red-miR-16 decoyが恒常的にP1-55細胞に発現する細胞株を得た。さらにここに遺伝子トラップベクターをレトロウイルスで導入した。このベクターにおいては、ポリA配列のない薬剤(Blasticidin)耐性遺伝子がゲノムにランダムに挿入されるため、薬剤耐性遺伝子を発現している細胞(Blasticidinに対して耐性を示す細胞)は、すべてレトロウイルスが内因性の遺伝子近傍に挿入され、内因性の遺伝子に変異をおこした細胞となっている。miR-33が低下している細胞を得るために、それらの細胞からGFPが上昇し、Ds-Redのレベルに変化のない細胞をFACSにてソーティングした。このP1-55細胞は、浮遊細胞であるため、限界希釈法により、シングルクローンを得た後、3’RACE法により、挿入変異を起こした遺伝子を確認した。複数の遺伝子の変異が得られたが、なかでもdownstream of tyrosin kinases 1(DOK1)遺伝子について着目した。実際にこのDOK1遺伝子欠損細胞においてはmiR-33の発現が低下しており、miR-33の宿主遺伝子である steroid response element binding protein 2(Srebp2)遺伝子の発現も低下していた。さらに、DOK1遺伝子欠損マウスにおいては、野生型のマウスと比較して、やせ形であり、脂肪細胞の分化が抑制されている一方、耐糖能が改善されていた。この表現型がmiR-33、Srebp2とどのような関係にあるかを詳細に検討する予定である。本法によって、従来の遺伝子トラップ法を改良することができ、目標とする遺伝子を簡便に同定することができることが示された。今後、疾患の本態解明に応用していく予定である。
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