2011 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎の表皮角化細胞におけるTSLPの産生機構
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23659546
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋山 真志 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60222551)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 表皮角化細胞 / フィラグリン / TSLP / Flaky tail mouse |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎(AD)ではフィラグリンの遺伝子変異が病気の発症リスクを大いに上昇させることが報告されてから間もなく、私たちは本邦のADにおいてもフィラグリンの遺伝子変異が病気の発症に関係があることを初めて報告した(Nomura T et al, J Allergy Clin Immunol 2007)。さらに、本邦では約27%もの高頻度のADの患者にフィラグリンの遺伝子変異が存在することを明らかにし、報告した(Akiyama M. Br J Flaky tail mouseはアトピー性皮膚炎モデルマウスでフィラグリンに遺伝子変異があり、フィラグリンの発現が完全に欠損していないものの著しく低下している。Thymic stromal lymphopoietin (TSLP)はADのKCから分泌されるサイトカインで、ランゲルハンス細胞を刺激して、Th2ケモカインであるCCL17とCCL22を放出させて、Th2細胞をリクルートさせる。このTh2細胞はIL-10を産生せずTNF-αを産生する炎症性Th2細胞とよばれ、ADの病態を形成する。このようにTSLPはKC由来のADの病態を形成する最も重要なサイトカインの一つとして位置づけられているが、どのような刺激がTSLPを誘導するかについては未解明である。フィラグリンの遺伝子変異のあるADとFlaky tail mouseのKCでは、フィラグリンの発現量が低下していることから、変異フィラグリン蛋白質の折りたたみがうまくいかず、小胞体ストレス応答や小胞体ストレス関連分解による変異フィラグリンの分解がADのKCとこのADマウスモデルのKCで起こっていることが予測された。本年度はアトピー性皮膚炎患者の遺伝子変異解析と変異を持つ患者とそうでない患者における皮疹部のTSLPの発現量について検討を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アトピー性皮膚炎の遺伝子変異解析を多数行うことができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
1000例程度の患者、健常者でのアトピー性皮膚炎における遺伝子変異解析と、TSLPの皮膚における発現の解析を集積する。Flakey tail mouseについても下記研究を進める。Flaky tail mouseにUPR誘導物質を外用して、皮膚炎が悪化するか否かをコントロール外用と比較する。i.皮疹をNC/Ngaマウスのスコアにならって、掻痒、紅斑、浮腫、びらん、とりんせつについて無し、軽症、中等症、重症の4段階に分けて、スコア化して、その合計を臨床スコアとしてつける。ii.背部皮疹の病理組織をHE染色にて検討する。トルイジンブルーにて肥満細胞を染色し肥満細胞の個数を計算する。iii.フローサイトメーターにて腋窩とそ径部リンパ節のリンパ球を計測する。CD4陽性細胞とCD8陽性細胞の割合を比較検討する。iv.血中総IgE抗体とダニ特異的IgE抗体をELISAにて計測比較する。v.皮膚バリア機能について検討する。ア)Inside to outsideバリア機能の評価のために、経皮水分蒸散量測定装置にて経皮水分蒸散量を計測する。イ)Outside to insideバリア機能の評価のために、FITC等の蛍光色素でラベルした様々な分子量のデキストランあるいはnanoparticleをマウス皮膚に塗布する。皮膚を外から内へ通り抜けた色素標識した物質の量を、皮膚樹状細胞を介して所属リンパ節内に移動した蛍光色素陽性皮膚樹状細胞数としてflow cytometryで定量的に評価する。vi.掻破行動について検討する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アトピー性皮膚炎の遺伝子変異解析。皮膚におけるTSLPの発現の解析。Flakey tail mouseの研究。
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