2013 Fiscal Year Annual Research Report
180kDa類天疱瘡抗原の切断と自己抗原性獲得機構
Project/Area Number |
23659547
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平子 善章 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (50377909)
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Keywords | 自己抗体 / 表皮水疱症 / エピトープ / ヘミデスモソーム / 類天疱瘡 |
Research Abstract |
180-kDa類天疱瘡抗原/BP180/XVII型コラーゲンは、表皮・基底膜間の膜貫通型接着受容体である。BP180の細胞外部分は、non-collagenous 16A(NC16A)ドメインと呼ばれる膜に近接した78残基の領域内で切断される。このBP180の切断された細胞外部分は、Lamina lucida型線状IgA水疱症 (LAD)の主要な自己抗原であることが知られている。一方、LAD患者血清は、BP180の全長分子とは反応しない。このようなLAD自己抗体が認識する断片特異的なエピトープの性質について、はっきりした事はこれまでわかっていなかった。本研究ではまず、BP180の120-kDa細胞外断片のみを特異的に認識するモノクローナル抗体1337を用いて、この抗体が認識しているエピトープの性質と位置について解析をおこなった。その結果、1337抗体は切断によって形成または露出が促進されるエピトープを認識していること、このエピトープはcollagenous 15 (C15)ドメインとの境界部分に近いNC16AドメインのC末側21アミノ酸残基中に存在する事がわかった。次に、BP180の細胞外断片に対して特異的でかつ比較的強く反応するLAD血清を選出し、これらのエピトープについて解析をおこなった。その結果、LAD自己抗体の主要な抗原部位は、NC16AドメインとC15ドメインの境界部分に存在する事を明らかにした。本研究結果はLAD自己抗体の認識するエピトープの性質と位置についての初めての詳細な解析であり、LADの病理について重要な知見をもたらした。類天疱瘡をはじめとする複数の自己免疫性皮膚疾患ではNC16Aドメインが主要な抗原領域となっているが、なぜこの領域がターゲットされるのか理由はわかっていない。本研究の結果から、切断によって生じたNC16AドメインとC15ドメインの境界部分を含む領域での構造変化が、BP180の自己抗原性獲得に関係している可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)