2011 Fiscal Year Research-status Report
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23659761
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松本 高広 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70447374)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 男性ホルモン / アンドロゲン受容体 / 点変異 |
Research Abstract |
前立腺癌は欧米では男性癌死亡者の約20 %を占める頻度の高い癌であり、日本においても現在食生活の欧米化に伴い、その発症頻度が急激に上昇している。前立腺癌の多くはアンドロゲン感受性癌であり、抗アンドロゲン剤等によるアンドロゲン遮断療法が有効である。しかしながら、こうしたホルモン療法は初期の段階では有効であるが、ほとんどの患者でアンドロゲン依存性の消失にやがて至る例が大多数を占める。そこで、ホルモン抵抗性を示す前立腺癌に高頻度でみられるアンドロゲン受容体(AR)点変異体(T877A)をマウス前立腺上皮細胞に導入したノックインマウスを作成し、前立腺癌の発癌と増悪に対する以下の知見を得た。1、マウスAR遺伝子座に、ヒト型AR点変異体(T877A)cDNAを接続し、loxP配列を2箇所導入した。AR点変異体floxマウスと時期誘導性の前立腺上皮細胞特異的Cre発現マウスとの交配により、成体期の前立腺上皮細胞のみでAR点変異体が発現するモデルマウスを樹立した。2、AR点変異導入マウスでは前立腺過形成が観察され、抗アンドロゲン剤であるフルタミドや他種ステロイドホルモンであるエストロゲンに応答した結果、前立腺の増殖が亢進する。一方、単独のAR点変異導入では前立腺癌発症への進展は観察されなかったことから、AR点変異体は発癌のプロセスには寄与していない。3、前立腺癌発症マウス(TRAMPマウス)とAR点変異導入マウスとの交配により腫瘍増殖が亢進したことから、AR点変異体は前立腺癌の進行に関与している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
困難が予想されたAR点変異体導入マウスの作成が当初の予想よりも早く終了し、表現型解析の進捗があった。
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Strategy for Future Research Activity |
前立腺癌の進行には上皮細胞と間質細胞との液性因子を介した相互作用が重要であることが知られている。本研究により樹立されたAR点変異導入マウスは前立腺上皮細胞のみにAR点変異体が発現しているため、相互作用因子を同定するための格好のツールとなることが期待される。そこで次年度は、前立腺の発生及び前立腺癌の進展に関与する液性因子群との機能的相関を検討すると共に、マイクロアレイ解析を用いて前立腺癌の増悪に関わる因子を同定する。さらに、ヒト前立腺癌検体を用いて、同定し得た癌増悪因子の発現を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額の繰越金はわずかなため物品費として充足する。次年度の研究費の使用計画としては、AR点変異体をベイトとしたタンパク精製を予定しているため、大量細胞培養のための培地や血清、各種抗体作成のための実験試薬・消耗品等の購入を中心に充てる。また、抗アンドロゲン耐性前立腺癌の進行に寄与するサイトカインを検索するため、各種サイトカインの購入が必要となる。また、金沢にて開催されるInternational Congress on Hormonal Steroids and Hormones & Cancer出席のための旅費も支出する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Noncanonical Wnt signaling mediates androgen-dependent tumor growth in a mouse model of prostate cancer2011
Author(s)
Takahashi S., Watanabe T., Okada M., Inoue K., Ueda T., Takada I., Watabe T., Yamamoto Y., Fukuda T., Nakamura T., Akimoto C., Fujimura T., Hoshino M., Imai Y., Metzger D., Miyazono K., Minami Y., Chambon P., Kitamura T., Matsumoto T.,Kato S
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A
Volume: 108
Pages: 4938-4943
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Essential roles of androgen signaling in wolffian duct stabilization and epididymal cell differentiation2011
Author(s)
Murashima A, Miyagawa S, Ogino Y, Nishida-Fukuda H, Araki K, Matsumoto T, Kaneko T, Yoshinaga K, Yamamura K, Kurita T, Kato S, Moon AM and Yamada G.
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Journal Title
Endocrinology
Volume: 152
Pages: 1640-1651
DOI
Peer Reviewed
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