2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659763
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
橋谷 光 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10315905)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 博充 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70410313)
三井 烈 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90434092)
|
Keywords | ペリサイト / 過活動膀胱 / 自動運動 / NG2 / 平滑筋アクチン |
Research Abstract |
マウス膀胱粘膜下の毛細血管ペリサイトはchondroitin sulfate proteoglycan neuron- glial 2 (NG-2)陽性(+)/α-smooth muscle actin (α-SMA)陰性(-)、細静脈ペリサイトはNG2 (-)/αSMA (+)、細動脈平滑筋はNG2 (+)/αSMA (+)であり、マウス粘膜下細静脈の壁細胞は血管径の増加に伴いα-SMA陽性のペリサイトから平滑筋に移行し、いずれも同じ細胞内機序により自発細胞内Ca2+濃度上昇を発生することからペリサイトから平滑筋への表現型移行が示唆された。 マウス粘膜下細動脈および細静脈には交感神経、副交感神経およびサブスタンスP、CGRPを含む一次求心性神経が分布しており、経壁神経刺激により細動脈は潜時の短い収縮を起こすのに対して細静脈では1~2秒の潜時の後に径の細い部位では一過性の収縮に続く自発収縮の抑制が、径の大きな部位では弛緩反応のみが認められた。 ラット膀胱粘膜下細静脈の自発収縮は経壁神経刺激によりα受容体依存性に促進、β受容体依存性に抑制され、β3受容体作動薬によっても抑制されたが、これら抑制反応一酸化窒素(NO)合成阻害により抑制された。またCGRPはNO非依存性弛緩を、サブスタンスPは収縮を生じ、AChは細動脈を弛緩させる一方で細静脈では収縮反応を生じた。膀胱粘膜下の微小循環は交感神経のみならず求心性神経および尿路上皮由来のAChによって制御されていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペリサイトから平滑筋への表現型移行を示唆する微小血管における細胞マーカーの部位特性、およびペリサイトと平滑筋に共通の機能特性を示すことが達成できた。しかしペリサイトの誘導、増殖に重要な役割を果たすPFGFRベータについて特異的な結果が得られず、ペリサイトから線維芽細胞への表現型移行についても機能形態学的根拠が得られていない。 一方でペリサイトに対する神経支配についての情報が得られ、また排尿筋平滑筋の自己分泌による内在性弛緩因子である副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)の機能的役割についての成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)の粘膜下血管の収縮性に対する効果を検討する。またPTHrP抗体を用いて切片ではなく全載伸展標本での免疫蛍光染色を行い、膀胱粘膜におけるPTHrPの分布、あるいはペリサイトにおけるPTHrP受容体の発現について検討する。 Chondroitin sulfate proteoglycan neuron-glial 2 (NG2)-RFPおよびCollagen 1(α1)-GFPトランスジェニックマウスが別途入手出来た場合にはペリサイトー筋線維芽細胞ー平滑筋の表現型移行について引き続き検討を行う。 既に取得したFIB/SEM(集束イオンビーム走査型電子顕微鏡)画像の3次元再構築を行い、粘膜下血管を中心とした細胞構築について検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)および抗体の購入 研究成果発表(第101回日本平滑筋学会総会) 膀胱粘膜下組織の細静脈壁に分布するペリサイトにつていの機能及び形態学的検討を行う過程で、膀胱壁急性伸展時に放出される副甲状腺ホルモン関連蛋白が排尿筋の収縮抑制とともに細静脈の拡張を生じる事が明らかになった。従って副甲状腺ホルモン関連蛋白は蓄尿時に膀胱内圧を低圧に維持し、なおかつ粘膜下血流を維持する重要な内因性因子であることが示唆される。しかしこの蛋白は非常に不安定であり解凍した当日にしか十分な生理活性が得られない事、また一時期特定のロット番号に活性の低下したものがあったことなどから研究の進行が著しく停滞した。その生理機能における重要性を考慮して、補助事業期間を延長し、新たなロットの蛋白で短期に集中して実験を行う事が必要と考えられる。また研究成果の発表も翌年度に追加データを含めた上で行う事が適当であると判断した。
|
Research Products
(5 results)