2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔バイオフィルムにおける新規スーパー耐性菌の探索とその薬剤耐性機構解明
Project/Area Number |
23659878
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
苔口 進 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10144776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 博史 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00274001)
玉木 直文 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (20335615)
狩山 玲子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40112148)
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Keywords | 細菌 / 感染症 / 歯学 / 薬剤耐性 / バイオフィルム |
Research Abstract |
昨今、ほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性緑膿菌や多剤耐性アシネトバクターの蔓延が臨床現場で問題となっている。また抗菌薬をも積極的に利用して増殖するスーパー耐性菌の出現も報告され注目されている(Dantas Gら Science,2008; 320 (5872):100-3)。 そこで昨年度に引き続き、デンタルユニット水や健常人や歯周炎患者の歯垢から抗菌薬を唯一の炭素源として利用して増殖するスーパー耐性菌についてDantas Gらの報告を参考に、無機塩溶液に炭素源として各種抗菌薬をそれぞれ1g/Lの濃度含む寒天平板培地を作成してスクリーニング調査を行った。また多量の抗菌薬治療を行った入院患者の口腔内や血液培養から分離された薬剤耐性菌についても調査を行った。 健常人や歯周炎患者歯垢からも無機塩溶液に炭素源として各種抗菌薬を添加した培地では培養コロニーは検出できなかった。生体試料を対象とする際には環境中からのスーパー耐性菌選択培地の改良が必要であろう。一方、デンタルユニット水からpenicillin Gを唯一の炭素源として増殖し淡黄色のラフ型コロニーを形成するグラム陰性桿菌は、その16S ribosomal RNA遺伝子塩基配列から、有害なPCBやビスフェノールA分解活性をもつとされるSphingomonas aquatilisであった。また、心内膜炎治療で大量の抗菌薬の投与を受けた患者口腔内からは、penicillin G高度耐性レンサ球菌Streptococcus mitis/oralisやEnterococcus faecalisやメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRCNS)が分離された。その耐性機構はレンサ球菌ペニシリン結合蛋白の変異やMRCNSではmecA遺伝子の獲得であった。生体内では充分な栄養素が確保でき、薬剤耐性機構は環境中の細菌のそれとは異なることが推察された。
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Research Products
(8 results)