2013 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージと共存する歯髄細胞で発現変動する分子群の網羅的解析
Project/Area Number |
23659889
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西村 英紀 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80208222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 茂樹 広島大学, その他の研究科, 助教 (30549762)
山下 明子 広島大学, その他の研究科, 助教 (70511319)
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Keywords | 歯髄細胞 / マクロファージ / TNF-alpha / マイクロアレイ / 歯髄炎症 / 融解壊死 / 分泌蛋白 / 炎症メディエーター |
Research Abstract |
前年度までの研究において歯髄細胞は、マクロファージからのTNF-alpha産生を誘導する因子を培養上清中に分泌することを見出し、この因子を歯髄細胞由来腫瘍壊死因子誘導分子(Dental Pulp-cell-derived TNF-alpha-inducing Factor: DPTIF)と命名した。また、本分子はinterleukin-1 betaと異なることも確認した。そこで本分子の性状を明らかにするため、マイクロアレイの結果から不死化歯髄細胞とprimary歯髄細胞の両細胞において強発現している遺伝子に着目し、発現強度が上位にある遺伝子の産物(リコンビナント蛋白)を入手し、それらがマクロファージからのTNF産生性に及ぼす影響を検討した。その結果、両細胞に共通して歯肉組織由来線維芽細胞に比べ発現強度が20倍~30倍の遺伝子において、1)そのリコンビナント蛋白がマクロファージからのTNF産生を促進すること、2)培養上清中に同分子をピコグラム/mlのレベルで分泌していることを見出した。しかしながらそのTNF産生活性は歯髄細胞の培養上清そのものに比べ、かなり低いものであった。この理由として1)リコンビナント蛋白がタグ付きのものしか市販されていないため、受容体への親和性が低下している可能性、2)リコンビナント蛋白が全長をカバーしていないため受容体結合性が不十分である可能性、3)他の分泌分子と協働して作用している可能性、などが考えられた。今後、これらの可能性について究明し、DPTIFの性状をさらに解析することは、短期間に組織の融解壊死を伴う急激な炎症反応が惹起される急性歯髄炎の病態解明、ならびに本分子群を標的とした新規治療法の開発に大きく寄与すると考えられた。
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