2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノバブルと超音波を用いた難治性唾液腺癌に対する新しい動注療法の開発
Project/Area Number |
23659933
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川口 なつみ 東北大学, 病院, 医員 (80597302)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 唾液腺癌 / ナノバブル / 超音波 / 腫瘍血管 / 分子導入 |
Research Abstract |
唾液腺導管癌や高悪性度の腺様嚢胞癌は、一般に癌化学療法や放射線治療に対し抵抗性を示すことから手術療法が主体となるが、術後の再発率が高く予後は極めて不良である。この原因としては、画像診断において、特異的な所見に乏しく腫瘍の浸潤範囲が不明であり、しかも、これらの腫瘍においては、神経や血管に沿って腫瘍本体から離れた部位に浸潤する進展様式を示すことから、切除範囲の設定が困難であることなどが挙げられる。従って、手術療法の限界を補填する新たな治療法の開発が望まれる。本研究においては、ナノバブルと超音波を用いた新しい分子導入システムと動注療法を用いて、腫瘍血管を標的とした新しい遺伝子治療法を開発し、従来の治療法では治療が困難であった難治性唾液腺癌の治療法の開発を目的とする。平成23年度においては、腫瘍モデル動物の作製しその病態を検討した。唾液腺腫瘍の中で最も予後不良とされている唾液腺導管癌は、組織学的にも、生物学的にも、浸潤性乳管癌に類似しているとされていることから、本研究においては、浸潤性転移性細胞株であるルシフェラーゼ発現性マウス乳癌細胞をSCIDマウス皮下に注射した場合には、腫瘍細胞は周囲組織に瀰漫性に浸潤増殖すること、また、脾臓に注射した場合には、肝臓に転移し瀰漫性に浸潤増殖することが、リアルタイムin vivo生体発光イメージングシステムで観察され、この所見は病理組織学的所見でも確認された。さらに、動注療法のモデルを作製するため、マウス下肢の動脈の支配領域を解剖学的に詳細に検討した。また、腫瘍モデル動物の腫瘍血管の三次元構築画像を高周波超音波画像解析装置と超音波造影剤としてのナノバブルを用いて試みたが、この超音波画像の解析法は本研究で予定している治療実験の効果判定に有用と思われた。
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