2013 Fiscal Year Annual Research Report
心を測る:不正咬合がもたらす心理的障害の脳機能イメージング
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23659964
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小野 卓史 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30221857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泰羅 雅登 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50179397)
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Keywords | 歯科矯正装置 / 発音困難度 / フィードフォワード制御 / 体性感覚フィードバック制御 / fMRI / 上側頭回 |
Research Abstract |
ヒトは、自身の発音の正確さには意識的に注意を払わずとも正確な発音を習得することができる。だが、その習得過程に関する脳神経学的背景については、未だ詳細が明らかになっていない。そこで、新たな発音の運動パターン習得過程における脳神経学的変化を明らかにすることを目的とし、歯科矯正装置により発音が容易に出来ない状況から装置に適応していく過程での脳神経学的変化をfMRIを用いて調べた。日本語を母国語とする成人9名を被験者とし、一週間の上顎歯列用の保定装置装着を指示した。被験音には、サ行の五文字の平仮名を採用し、装置装着当日、装着から2日目、6日目の3時点において主観的発音困難さの評価とfMRI実験を実施した。fMRI実験では、発音、発声を伴わない発音動作のみ、および黙読の3課題を課した。その結果、以下の知見が得られた。①主観的発音困難さは、装置装着直後に最も高く、経時的に有意な減少が認められた。②装置装着時の発音のフィードフォワード制御および体性感覚フィードバック制御により賦活する脳領域を解析したところ、先行研究と同様の領域において賦活が認められたが、有意な経時的変化は認められなかった。③装置装着時の発音の聴覚フィードバック制御により賦活する脳領域を解析したところ、右側上側頭回を含む先行研究と同様の領域において賦活が認められた。また、右側上側頭回における賦活強度は、装置装着直後に最も強く、経時的に有意な減少が認められた。④主観的発音困難さは、装置装着状態での発音時の右側上側頭回における賦活強度と正の相関を示した。以上の結果から、矯正装置装着時の発音運動パターンへの適応の過程では、フィードフォワード制御および体性感覚フィードバック制御よりも右側上側頭回における聴覚フィードバック制御による脳賦活変化が直接的に関連することが示唆された。
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Research Products
(4 results)