2011 Fiscal Year Research-status Report
咬まない食事は何が問題なのか?-食形態が咀嚼運動調節機構に与える影響を解明する-
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23659971
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
赤坂 徹 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (60316263)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Vmesニューロン / 咬筋筋紡錘 / GABA(A)受容体 / 哺乳 / 咀嚼運動 / splicing variant |
Research Abstract |
平成23年度は咬筋筋紡錘の感覚を司る三叉神経中脳路核(Vmes)ニューロンに発現しているGABA(A)受容体サブユニットmRNAの発現にについて解析した。GABA(A)受容体は5つのサブユニットから構成され、5量体を形成しているが、発現している部位により構成や機能が異なることが報告されている。19種類報告されているサブユニットの中でVmesニューロンではα2、α5、β1、γ1、γ2の5種のサブユニットで構成されていることが報告されているため本研究ではα2、α5、β1、γ1、γ2の5種のサブユニットのmRNAについてその発現をRT-PCR法を用いて解析した。申請者の研究では哺乳から咀嚼へと経口摂取の運動様式の大きな変化の時期にこれらのサブユニットの発現に変化を生じる可能性があることを予備的実験から推察していたため、生後4~7日のラットと生後5週齢の固形食群と生後5週齢の粉末食群について解析を加えた。その結果、生後4~7日のラットではα2、α5、β1、γ1、γ2の全てのサブユニットのmRNAの明確な発現を認めたが、5週齢の固形食群、粉末食群ともにα2サブユニットの発現が認められず、β1サブユニットの発現も不明確であった。発現が認められなかった理由として申請者はサブユニットそのものが欠如するのでは無く、GABA(A)受容体サブユニットに関するこれまでの研究で報告されているように、α2サブユニットにsplicing variantを生じている可能性を考えているが、これは推測の域を出ない。また、固形食、粉末食のどちらのラットでも生後4~7日のラットに認められたα2サブユニットの発現が認められなかったことから、splicing variantは咀嚼による咬筋の運動により誘導されたものでは無い可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画では平成23年度では組織学的な解析を行い、平成24年度に分子生物学的解析を計画していたが、組織学的な解析は終了したため、23年度内にGABA(A)受容体のサブユニットのmRNAの解析を50%程進めることができた。進度としては当初計画以上とも考えられるが、データの解析・発表を終えていないため、区分のような評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、α2サブユニットの全シークエンスを解析し、splicing variantが生じているか否かを明らかにしていく予定である。生後4日~7日のラットと5週齢のラットで差が認められたα2サブユニット、β1サブユニットに関してはリアルタイムPCRによる解析を加え、mRNAの総量についての評価を行うとともに、現在行っている、RT-PCRではmRNAの一部のみ(全シークエンスの25%程度)検出、増幅を行っているため、あらためて全シークエンスを検出し、生後4日~7日群と5週齢群について得られたmRNAのシークエンスを比較し、splicing variantが生じているか否かを明らかにすることを考えている。また、固形食を食べ始める3週齢のラットや10週齢のラットについて同様な方法で解析することで、成長、発育に伴うGABA(A)受容体の変化が詳細に検討できると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品と旅費が主な使途である。
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