2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659977
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 直史 岡山大学, 大学病院, 講師 (50432662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 知子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90580267)
畑中 加珠 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50362992)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50226768)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞周期 / 細胞増殖・分化 / 歯周組織 |
Research Abstract |
細胞増殖と分化は厳密なメカニズムを介して協調し,組織の恒常性を制御しているが,生体内における制御機構の全体像は未だ不明瞭である。 本研究では歯周組織の一連の生体反応における細胞増殖・分化を制御する分子メカニズムを解明することを全体構想とし、本年度は, 1, トランスジェニックマウスラインの確立 2, 歯の発生時を含む歯周組織における細胞周期の進行・停止の局在を解析した。1, 理化学研究所バイオリソースセンターから、Fucci-S/G2/M-Greenマウス、およびFucci-G1-Redマウスの供与を受け、これらを交配することによってダブルトランスジェニックマウスラインを確立した。 すなわち、このマウス全ての組織構成細胞の細胞周期を緑~赤の蛍光色素によって標識できるシステムが完成した。2, 歯および歯槽骨を含む硬組織形態の詳細を解析するために、まず、上記の標識システムを利用した10週齢Fucciマウスの歯周組織を固定・脱灰後にパラフィン包埋した標本切片を用いて、構成細胞の細胞周期を調べた。 この切片では、緑色蛍光標識が微弱であったため、monomeric Azami Green抗体を用いた蛍光免疫染色を併用して解析を行った。 歯肉上皮の基底細胞層では、緑色標識された増殖期の細胞が散在し、接合上皮部で顕著であった。 表層への分化に伴い赤色標識された細胞分裂後の細胞が多く分布することが明らかになった。一方、歯根膜組織においては赤色および緑色蛍光標識が殆ど確認できなかった。以上の結果から、Fucciマウスの組織から作製した脱灰パラフィン包埋標本は、歯肉上皮の細胞周期の可視化に有用であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1, 理化学研究所バイオリソースセンターからのマウス供与にあたって、学内の事務手続きが円滑に進まなかったため、年度最初から研究が開始できなかったため。2, 歯および歯槽骨を含む硬組織形態の詳細と蛍光標識細胞の局在を明瞭化するために、まず脱灰パラフィン包埋標本を用いた解析を進めたが、緑色蛍光の認識が困難であり、最適な条件を検索するのに時間を費やしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
組織の形態解析には脱灰パラフィン包埋標本が優れているが、本研究で用いる緑色蛍光標識の維持・産生に何らかの影響を及ぼしている可能性が高い。 今後、マウス胎生期標本を用いた歯胚発生期の解析と併行して、凍結非脱灰標本を用いた間葉系組織における細胞周期解析を行い、歯周組織の全ての構成細胞の細胞周期を解析できる条件を確立する予定である。 これを確立することによって、交付申請書に記載した研究実施計画内容が円滑に進行すると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず、成熟マウス歯周組織の上皮および間葉系全ての構成細胞の細胞周期を解析できる組織切片作製方法を確立する。 その後、交付申請書に記載した以下の研究実施計画に沿って研究を進める。(1)歯周組織の恒常時における細胞周期の解析:正常歯周組織構成細胞の細胞周期の分布を解析する。特に,G1→S期の増殖細胞が集積する部位に焦点を絞り,二重蛍光免疫染色法によって,幹細胞表面マーカーOct-4,SSEA-4を、また間葉系幹細胞マーカーSTRO-1,およびintegrin-a4b1の分布を解析し,細胞の未分化度と細胞周期の関連を調べる。(2)歯周組織の創傷治癒過程における細胞周期の解析:骨欠損モデルの作製は,申請者の研究室で既に行われている方法に準じて行う。骨欠損作製後,経時的に歯周組織切片を作製し,歯周組織構成細胞の細胞周期の分布,さらに,治癒期の細胞群のなかで, G1→G0期の増殖停止細胞に着目して,硬組織分化マーカー(Runx2,osterix,osteocalcin,bone sialoprotein)の分布との関連を調べる。
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