2012 Fiscal Year Research-status Report
医療者自身のホリスティックヘルスを促す養生法の効果
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23659997
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小板橋 喜久代 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80100600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩永 喜久子 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (40346937)
柳 奈津子 群馬大学, 保健学研究科, 講師 (00292615)
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Keywords | 健康生成 / 保健気功 / アロマセラピー / ボディーラーニング / セルフヒーリング |
Research Abstract |
高度医療施設における複雑で専門的な役割を果たすために、それに従事する医療者自身の健康生成を促すための、積極的な取組がますます重要性を増している。24年度は、本研究の課題を具体化しその成果を評価するために、研究協力施設の看護部の福利厚生事業との共同のもとに、2つの課題を設定して参加者を募集し講座を開始した。課題の一つは、セルフケアの実践であり「保健気功」を取り上げ、8月から週1回の養生法講座を継続的に実施した。3月末までに32回開催した。この課題を取り上げた理由は、心身調和と自然との深いつながりを内省し洞察するという気功の持つ精神性・身体性・霊性への気づきの効果が優れているためである。一方の課題は、アロママッサージを受ける機会を提供することとした。アロマによる快適性の増大と心身の疲労の癒しを促すうえで有効な取組と考えた。この2課題に自由に参加出来ることとして実施したところ、保健気功の実参加者数は12名であったが、9か月間の延べ参加者数は102名であった。血圧・脈拍および精神健康度尺度による心身機能の変化を追跡したところ、3カ月以上に渡り継続した者は、血圧・脈拍の安定がみられた。自由記述の内省報告からは、錬功への参加の楽しみ、期待感が述べられた。主観的な、代謝機能の高まりと適度の活性化が得られた、加齢とともに低下しやすい代謝活動の高まりへの快適感があると報告された。精神健康度パターンにおいて、開始時「ふうふう型」であったものが、6カ月後には「ゆうゆう型」に移行した者がおり、仕事上の対人関係ストレスの受け止め方が変化したと述べられた。もう一方の課題であるアロマセラピーの参加者数は一層少なく5名の利用者が得られたのみであった。実参加者数が少ないことが限界であるが、さらに継続的な効果を追求していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医療者自身を対象とした取り組みであり、多忙な中でも一定の参加がえられると期待したものの、実参加者数が少ないままで9か月間の講座を経過した。課題内容と目標については適切であると考えるものの、さまざまな年代の医療職(看護職)を対象としていくためには、テーマの提示の仕方、講座の実施時間帯、気功やアロママッサージへの関心を喚起する方法など、さらに工夫する必要がある。看護職が気兼ねなく利用できるような関わりの仕方も重要であると考える。本講座は、中長期的に継続することが重要であり、1年間の継続の予定であるが、その折り返し時期に来ているところで参加者の達成度を評価してみると、6カ月以上に渡り継続した者は、身体面・精神面そして気持ちの広がりと充実感を実感していることが分かった。これらのことから、指導体制・外部講師による専門的な錬功指導も合わせて、講座運営そのものは順調であったと評価した。しかし、より多くの参加者を得るために一層の工夫と努力をしていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上半期は、同様の課題で講座を継続し、長期的な効果を見ていく予定であるが、合わせて、再度工夫して参加者を増やす努力を行う。課題の説明に、多くの者が関心を持てるような広報をすること、気軽に参加できるよう時間帯とサービスの簡略化(長い時間が必要では参加を見合わせる者が多い)、部分的なサービスの利用もできる、保健気功法に関しては、リラクセーション法の一つとして取組の内容を柔軟に広げていく、医療場面における保健気功の意義について、外部講師の講演会を予定して関心を高める、などの改善をしていく。4月からは、職員の異動や新しい職員も入れ替わるので新しいパンフレットを作成して、有効に広報を進める。7月までは週1回の講座を継続的に開催し、取組を評価して下半期で報告書の作成を行う予定である。また「看護職の健康」をメインテーマとしている日本看護研究学会大39回学術集会において、交流集会を企画し多くの看護職とディスカッションを深める予定である。そのことを通して、自分の健康管理と適切な健康生成への取り組みが、看護師の働く意欲や、患者と関わる時の、心身の安定と自信につながることなどについての認識が広がることを期待している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度であり、講座を継続運営しながら、学会発表と報告書作成を行うために、次の予算の使用計画である。 ①講座の継続運営にかかわる消耗品、 ②課題の実践による生体反応の評価のために心拍変動解析機器 ③特別講師謝金、学会発表にかかる経費、報告書作成のための必要経費と資料分析・集計のため のアルバイトの雇いあげの費用
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