2011 Fiscal Year Research-status Report
不妊治療後の妊婦が安心して健康的な妊娠生活を過ごすための看護ケアプログラム
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23660070
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
長岡 由紀子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80315762)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 不妊治療 / 妊娠 |
Research Abstract |
本研究の目的は、不妊治療後の妊婦が安心して健康的な妊娠期を過ごすための看護ケアプログラムの開発である。H23年度(初年度)は、不妊治療後の妊婦にとっての「安心で健康的な妊娠期」の構造を、文献レビューとフィールドワーク(看護者・妊婦への面接や参加観察等)からなる概念分析の手法を用いて包括的に明らかにすることを目的に研究を遂行した。 最初に、不妊治療後妊娠に関連する看護研究の動向の再確認のために文献レビューを実施した。その結果、研究の動向は(1)治療後妊婦の心理特性(不安、うつ等)、(2)母親役割獲得や母性課題に関するもの、(3)ハイリスクを中心とした不妊治療後妊婦へのケア、の3つに大別され、自然妊娠の妊婦との相違点に関しては一定の見解はないという結果であった。 次にハイブリッドモデルによる概念分析の第1段階として、「安心で健康的な妊娠期」の概念を明確にするために「健康」「安心」「不妊治療後妊娠」、「infertility」「health」「pregnancy」をキーワードに文献検討を行ったが、得られた文献数が少なくこの段階では概念は明確に定義できなかった。第2段階では、文献検討の結果から看護ケア場面の参加観察は不適切と判断し、この段階では不妊治療後の妊婦へのケア経験のある看護職、及び不妊治療後妊娠分娩経験者へのインタビューをもとに概念を明確にすることにした。両者へのインタビューは、研究者の所属施設の研究倫理委員会での承認の後に実施した。結果は質的に分析した。 3月末の時点では、インタビュー及び分析は途中段階であるが、不妊治療後の妊婦は晩産婦、多胎・合併症妊娠である場合が多く、それらの要因が妊娠期の健康の構造に関連している可能性が示唆された。さらに、看護ケアプログラムの開発においては、妊娠のどの時期に援助の視点を置くかを吟味する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究目的は概念を明確にするためのデータ収集であり、文献レビューやインタビューが予定通りに実施できているため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、看護職及び不妊治療後妊娠分娩経験者のデータ収集を継続し、結果を質的に分析する。その結果は前年度に検討を行った文献レビューの結果と統合し、本研究における概念分析の結果とする。 次にこの概念モデルをベースに、不妊治療後の妊婦への看護介入方法を検討し「安心で健康的な妊娠期を過ごすための看護ケアプログラム試案」を作成する。 4月~12月:看護職および不妊治療後妊娠経験者からのデータ収集(継続)、データ分析、文献検討の結果との統合、「安心で健康的な妊娠期」の構造の概念モデルの構築。分析および統合のプロセスでは、適宜専門家(母性看護・生殖看護の専門家、研究家)のコンサルテーションを受ける。 翌1月以降~:概念モデルを参考に、看護プログラム試案を作成し、翌年以降のプログラム評価に向けての方法論を検討する。検討内容は、対象者および対象施設の検討、評価指標の検討、指標がない場合には作成するかどうかの検討、プログラム試案の内容に応じては教材等の開発を検討する。また、初年度の研究成果発表を行う。 さらに、対象者や時代のニーズに即した看護プログラム試案となるよう、年間を通じて国内外の情報収集、専門家との情報交換等を積極的に行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:高額備品の購入予定はないが、必要に応じてデータ収集、整理のためのOA用品を購入する予定。旅費:本研究の成果発表、国内外の情報収集のための関連学会・研修会等への参加に伴う旅費、データ収集に伴う旅費、連携研究者との会議開催に伴う費用として使用予定。人件費・謝金:インタビュー謝礼(看護職、出産経験者)、コンサルテーション謝礼(専門家等)、データ入力・整理における費用として使用予定。その他:学会参加費や消耗品購入、翻訳費用として使用予定。
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Research Products
(1 results)