2011 Fiscal Year Research-status Report
野宿生活者が主体的に健康に取り組むことを目指した看護支援
Project/Area Number |
23660115
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
白井 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 講師 (40351150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 講師 (10351149)
井上 清美 神戸常盤大学, 保健科学部, 准教授 (20511934)
島田 友子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (80196485)
稲垣 絹代 名桜大学, 健康科学部, 教授 (40309646)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 野宿生活者 / 健康相談 / 血圧測定 / 健康づくり / 主体的 / 生活の工夫 |
Research Abstract |
1.野宿生活者への健康支援活動の実施1)名古屋,大阪,沖縄で健康相談(炊き出しの場所/公園巡回型など)を継続的に実施し,それぞれの地域の状況について意見交換した。特に名古屋と大阪では,双方の健康相談に参加し,地域の特性や具体的な支援の方法などについて,意見交換をした。(2)継続的に健康相談を実施することによって,野宿生活者との関係が深まり,血圧測定値や健康上で気になることを自ら相談に来る人が増えた。また継続して相談に来る人や,相談後に行動してみた結果を報告に来る人も増えた。他方で,例えば高血圧を自覚しているが治療をしていない人もいるため,こうした人々が治療をしようと思えるよう,きっかけをつくる関わりが課題であると考える。2.野宿生活者の健康促進につながる活用可能な資源と活用方法の調査1)野宿生活者支援団体の活動に同行して出会った人からの聞き取り,同意の得られた野宿生活者への密着調査,健康相談で出会った人からの聞き取りなどを行った。寒さ対策や襲撃を避ける方法,野宿生活者同志の人間関係のもち方や野宿生活者ではない人との人間関係のもち方などについて,生活の方法や工夫している点について情報を得た。また,ある野宿生活者からは,段ボールを使う方法などいろいろな人に教えてあげるが,自分から行動を起こさない(自分で段ボールを取りに行かない,持ってきてあげれば使う)受け身的な人が多いと言っていた。従って,広く野宿生活者に生活の知恵を提供する際,その方法について検討していく必要があることもわかった。2)健康状態をその場で知ることができるワンコイン健診(ケアプロ代表者の話では,寿町でチャリティー健診の実績があるとのこと)や歯科検診なども,野宿生活者の健康を支援する上で有効な一つの方法である。野宿生活者の健康を支える医療保健システムとして,民間機関も組織化できる方法を検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.研究期間平成23年度~平成25年度のうち,平成23年度の研究計画については,1)野宿生活者への健康支援活動の実施(実施期間 平成23年度~平成25年度)2)野宿生活者の健康促進につながる活用可能な資源と活用方法の調査(平成23年度)の2点をあげ実施し,研究実績の概要でも述べたとおりの結果が得られた。2.本研究は,野宿生活者の生活の知恵や工夫を健康支援活動(健康相談)を通して広く野宿生活者に伝授し,その知恵や工夫または資源を活用して,その人なりの健康づくりの方法を,当事者と研究者がともに探索的に見つけ出していくことを目的としている。2)で明らかになった結果は本研究の目的に即しているのは当然であるが,その知恵や工夫を伝授する際,研究者と野宿生活者との関係づくりができていなければ,健康づくりの方法について互いに探索的に考えあうことは難しい。従って,1)で得た成果において,特に「関係が深まった」点については,この研究の趣旨からいえば成果は大きいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間平成23年度~平成25年度のうち,平成24年度の計画については,以下の4点である。1)野宿生活者への健康支援活動の実施:平成23年度の成果を活かしながら継続する。2)野宿生活者の健康促進につながる活用可能な資源と活用方法の調査:当初の予定では平成23年度実施としたが,実施した調査は寒い季節であり,得られた情報はその季節の生活に即したものであった。従って,暑い季節にあわせた情報を得る必要があるため,平成24年度夏ごろまで延長して調査を行う予定である。3)2)の結果から野宿生活者の健康促進につながる活用可能な資源と,その効果的な活用方法の分析/検討:2)ですでに得られている寒い季節の調査結果について,平成24年度前半に分析/検討する。新たに行う暑い季節の調査結果については,平成24年度後半に分析/検討する。4)3)の結果を活かした支援を1)の健康支援活動の中で行う:平成24年度前半に分析/検討した寒い季節の結果を活かした健康支援活動を,同じ寒い時期(平成24年度後半)から実施していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.健康支援活動(健康相談)に必要な消耗品として,血圧計,塩,塩アメ,血圧手帳(作成のための紙,インクなど),ビニール袋,マスクなどを購入予定である。2.野宿生活者の健康促進につながる活用可能な資源と活用方法の調査の分析/検討に当たり研究会を開催するため,旅費に使用する予定である。3.研究課題に関する必要な文献を購入の予定である。4.成果発表のため(学会等),参加費および旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)