2013 Fiscal Year Research-status Report
野宿生活者が主体的に健康に取り組むことを目指した看護支援
Project/Area Number |
23660115
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
白井 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 講師 (40351150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (10351149)
井上 清美 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (20511934)
島田 友子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (80196485)
稲垣 絹代 名桜大学, 健康科学部, 教授 (40309646)
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Keywords | 野宿生活者 / 健康相談 / 血圧測定 / 健康づくり / 主体的 / 生活の工夫 |
Research Abstract |
1.野宿生活者への健康支援活動の実施:1)名古屋,大阪を中心に健康相談を継続的に実施した。血圧測定をきっかけにして,当事者とじっくり話をする機会をつくり,それぞれの健康について考え合った。協働的パートナーシップの関係を構築することを意識した関わりを通して,当事者の生活や健康行動が変化した事例もあった。2)野宿生活者の生活への参加観察からわかった生活や健康上での工夫を,その人の生活習慣や価値観に沿いながら提案し,健康維持または健康向上につながる行動の方法を考え合った。例えば,防寒のための新聞紙の使い方や熱中症予防のための塩分摂取の方法・休息のとり方など,具体的な方法を提案した。 2.野宿生活者の生活への参加観察から得た生活や健康上での工夫について,他者にも有効だと考えたものについて,他の野宿生活者に実際に活用してもらい,その効果を検討した。:1)炊き出しの場所で,熱中症予防のための経口補水液の試飲会を行った。試飲をした人の感想では,「味はよく,飲みやすい」というものが多かった。2)寒さ対策として梱包用エアークッションと緩衝シートの効果を検討した。野宿生活者へ協力依頼をし,同意の得た人に実際に活用してもらった。使用前の聞き取りは17名,使用後の聞き取りでは7名の協力者があった。実際に使用してみた意見としては,効果があったという回答の方が多く,クッション性があることから防寒対策だけではなく,春や夏のシーズンにも活用できるのでないかという意見もあった。 3.研究会の実施と成果報告:1)各地域の健康相談活動の情報交換および成果の検討を行った。特にそれぞれの地域の野宿生活者の生活の特徴などを明らかにし,当事者にとっての健康の意味についてディスカッションした。2)研究生活について学会報告(3報告)及び専門雑誌への投稿(1論文)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.研究期間平成23年度~平成25年度のうち,平成25年度の研究計画については, 1)野宿生活者への健康支援活動を実施する。2)野宿生活者の生活の参加観察から得た生活や健康上の工夫のうち,他者にも効果的であると考えられるものを活かした健康支援活動を行う。3)健康支援活動の成果についてまとめる。 の3点をあげて実施した。実施概要と成果は,研究実績の概要に述べた通りである。 ただし2)については,経口補水液の活用の検討までは実施できていないため,次年度に行うことを予定している。研究全体の計画が1年延長するが,研究自体は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画は以下の通りである。 1)健康支援活動の継続:それぞれの地域で行ってきた健康支援活動を継続して行う。 2)経口補水液の活用に関する調査:野宿生活をしている人々に,実際に経口補水液を日常生活の中で活用してもらい,その効果について検討する。 3)研究のまとめ:野宿生活者が実際に行っている生活や健康上での工夫を,健康支援活動を通して,他の野宿生活者に提案してみた結果について検討する(野宿生活者の健康行動の変化の有無,試みてきた支援方法は野宿生活者の主体的な健康づくりにつながったかなど)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
参加観察から得た野宿生活者の生活や健康上での工夫の中で,他者にも有効だと考えたものについて,実際に野宿生活者に活用してもらい,その効果を検討している。その一つに暑い時期の経口補水液の活用について計画したが,経口補水液の紹介を目的とした試飲会の実施に時間を要し,日常生活での活用を試すまでには至らなかった。季節の制限もあるため,この調査を次年度に実施し,その効果を検討した上で研究の最終成果を出したいと考えたため。 以下,4点について未使用額分を使う予定である。 1)「経口補水液の日常生活での活用」に関する調査を実施するため,塩,砂糖,紙コップ,水,協力者への謝礼金等。2)これまで続けてきた野宿生活者への健康相談活動も継続して行うため,綿棒,マスク,電池等の消耗品。3)研究会を1回実施する予定であるため,交通費と宿泊費。4)研究全体の分析とまとめを行うため,必要な資料や文献,ファイルやUSBメモリー等の消耗品。
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Research Products
(3 results)