2013 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分の生体内有効性を制御する概日リズム因子のデータベース構築とその応用
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23680074
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
榊原 啓之 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20403701)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 概日リズム / 食品機能性成分 / 生体内有効性 / 生物時計 / げっ歯類 / 培養細胞 |
Research Abstract |
ヒトや実験動物をはじめとする生物の体内では、多くの生体機能、例えば、睡眠/覚醒、神経活動、ホルモン 分泌、体温、酵素活性に約24時間周期のリズム(概日リズム)が認められている。ところが、実験動物を用いた 多くの食品成分の有効性評価は、生体の概日リズムを考慮に入れて実施されてこなかった。本研究は、体内で刻まれている様々な概日リズムによって、摂取した食品成分の生体内有効性がどのように制御されているのかを明らかにし、その制御機構のデータベースを構築するとともに、概日リズムを調節できる食品成分を探索することを目的として推進しており、平成25年度の研究では次の結果を得た。 1. 乳清タンパク質ペプチドを被験試料として用い、異なる時間帯に同じ量をマウスに経口投与したところ、胃内通過速度、血中遊離アミノ酸濃度に違いがみられることを見出した。また、その差異には、消化管におけるトランスポーターの発現量の日内リズムだけでは説明できない要因が存在していることがわかり、現在、そのメカニズムを探究中である。 2. 脂質代謝系に作用することが報告されているブルーベリー葉抽出物を含む食餌を与えたマウスの血中および肝臓中脂質含量を覚醒期直後と睡眠期直後に比較測定した結果、同じ試料であっても、評価する時間帯によって結果が異なる可能性を示唆するデータを得た。 3. ヒト肝がん培養細胞株を用いて、体内時計に作用する食品因子のスクリーニングを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に実施した研究により、乳清タンパク質由来のペプチドを摂取させた時の血中アミノ酸量が投与時間により異なること、またその差異は消化管のトランスポーターが刻んでいる発現リズムだけでは説明できないことを見出した。またマウスに試料混餌を与えた時には、評価する時間帯でその効果に違いがみられるとの興味深い結果を得ている。また細胞実験においても、体内時計に作用する可能性を示す食品因子があることを示唆した。したがって、本研究は概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究で得られた成果を基盤として、課題最終年である本年度は、次の4つのメインテーマを推進するとともに、成果を発展的に集約する。 1)食品機能性成分の生体内有効性に影響を及ぼす生体因子の日内リズムのデータベース構築の集約 2)摂取する時刻と評価する時刻が摂取成分の生体内有効性に及ぼす影響評価 3)培養細胞を用いた時間機能性食品学の評価の継続 4)母体が摂取した成分が胎児に与える影響についての時空間的解析
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