2011 Fiscal Year Annual Research Report
同位体不斉及びクリプトキラル化合物による不斉誘導現象と超高感度不斉認識
Project/Area Number |
23685012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
川崎 常臣 東京理科大学, 総合研究機構, 講師 (40385513)
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Keywords | 同位体不斉 / 不斉自己触媒反応 / 不斉誘導 / 不斉認識 / クリプトキラリティー / キラル識別 |
Research Abstract |
酸素同位体不斉(^<18>O/^<16>O)を有するキラルヒドロベンゾインの高感度不斉認識に成功した。ヒドロベンゾインのエナンチオトピックなヒドロキシ基を酸素18で標識した酸素同位体キラルジオールを精密不斉合成し、本化合物存在下、ピリミジン-5-カルバルデヒドとジイソプロピル亜鉛との不斉自己触媒反応を行うことにより、酸素同位体不斉に相関した絶対配置を有するピリミジルアルカノールが高い鏡像体過剰率で得られることを明らかにした。本結果は、酸素同位体間のわずかな違いに基づく微小不斉が、不斉反応のエナンチオ選択性を制御したことを証明した最初の例である。不斉が著しく増幅する不斉自己触媒反応と組み合わせることにより、酸素同位体不斉の識別に始めて成功したものである。なお、酸素同位体キラル化合物は、キラルカラムにより分割した光学活性原料を基に不斉合成することで、他のキラル要因混入の可能性を排除した。 アキラルアルデヒドが形成するアキラルな単結晶のエナンチオトピック面を気体状態のジイソプロピル亜鉛に曝すことにより,エナンチオ選択的炭素-炭素結合形成反応が進行し,キラル化合物を与えることを見出した。単結晶中でのアルデヒド分子の配向を利用した不斉合成反応であり、単結晶表面の2次元不斉を認識した初のエナンチオ選択的炭素-炭素結合形成反応である。単結晶に気体の試薬を作用するため,キラル触媒等の不斉源や溶媒を用いずに不斉合成が可能となった。さらに生成物であるピリミジルアルカノールは、不斉増幅を伴う不斉自己触媒として作用するため、引き続く不斉自己触媒反応により、結晶表面の不斉と相関した、ほぼ光学的に純粋なキラル化合物を合成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不斉自己触媒反応を用いることにより酸素同位体置換キラル化合物の不斉認識を達成し、同位体不斉の識別に関する重要な知見を得ることができた。さらには、アキラル化合物が形成するアキラル結晶の表面不斉の認識に成功し、アキラル有機化合物の結晶中での2次元配向を利用した不斉合成を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
同位体不斉の認識に関して、炭素同位体置換によるキラル炭化水素を用いた不斉自己触媒反応、さらには、窒素同位体置換キラル化合物の不斉認識を推進する。窒素15で標識することによるキラルジアミン誘導体を不斉合成し、不斉自己触媒反応の不斉源として用いる実験を行う。さらに、同位体不斉による不斉誘導機構の解明を目指して、MASSスペクトルやNMR、振動円二色性スペクトルなどの装置を用いた解析を行い中間構造・遷移構造の推定を行う。また、アキラル化合物が形成するアキラル結晶の2次元配向を利用した不斉認識、すなわち不斉合成反応とりわけ炭素-炭素結合形成反応に取り組む。
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Research Products
(27 results)