2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23685038
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
築地 真也 長岡技術科学大学, 産学融合トップランナー養成センター, 特任准教授 (40359659)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 蛋白質ラベリング / アフィニティラベル化 / トシル化学 / 細胞 / 部位特異的変異法 |
Research Abstract |
本研究では、申請者が開発した「リガンド指向型トシル(LDT)化学」を発展させ、細胞内の対象蛋白質の望みの部位に望みの機能性プローブや翻訳後修飾を高速・高効率に導入可能な汎用性の高い細胞内蛋白質化学ラベル化基盤を確立することを目的としている。 昨年度は、天然FKBP12を対象としたLDT化学を展開し、ラベル化剤の改良によってラベル化効率を改善することに成功した。また、ラベル化剤のスペーサー構造を選ぶことでラベル化部位を変えられることを実証した。一方、天然蛋白質を対象とした場合にはラベル化反応の高効率化やラベル化部位のピンポイントでの指定というのは限界があることも明らかとなった。 そこで本年度は、新しい戦略として、LDT化学と遺伝子工学を融合するというアプローチを検討し始めた。この戦略では、遺伝子工学を用いて対象蛋白質のラベル化したい部位に高求核性アミノ酸「システイン(Cys)」を変異導入し、そのCys変異体に対するLDT化学を展開する。まず、FKBP12表面のさまざまな位置にあるアミノ酸をCysにモノ置換した変異体を多数作製した(大腸菌による発現と精製)。次に、作製したFKBP12変異体と合成ラベル化剤シリーズ(蛍光色素標識用)をそれぞれさまざまな組み合わせで in vitroで反応させ、ゲル電気泳動/in-gel蛍光検出によりラベル化反応の効率を系統的に評価した。一連の実験を通じて、Cysの変異導入位置とラベル化剤スペーサー構造を適切に選ぶことで、ラベル化反応の高速・高効率化が実現できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の予定通り、LDT化学と遺伝子工学を融合するという新しいアプローチの有効性を実証することができた。これは、汎用的な細胞内蛋白質ラベル化法の確立へ向けた極めて重要な成果であり、次年度の研究のための大きな基盤を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度確立した「Cys変異体に対するLDT化学」というアプローチを大きく発展させる。まずは、この戦略が細胞内でも実際に有効であることを実証する。また、得られた結果をもとにラベル化剤の分子構造を更に改良し、細胞内ラベリングやラベル化後のリガンド断片の排出がより高効率に進行する新しいラベル化剤基本設計の確立を目指す。一連の実験を通じて、さまざまな蛋白質をより自在かつ精密に化学修飾・機能化することのできる革新的な細胞内蛋白質ラベル化技術の創出を目指す。
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