2011 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンフォトニック結晶ナノ共振器の性能向上と非線形光学効果の増強
Project/Area Number |
23686015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高橋 和 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (20512809)
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Keywords | フォトニック結晶 / 微小共振器 / 応用光学・量子光工学 / 半導体物性 / 光源技術 / ラマン散乱 / 非線形光学 / シリコン |
Research Abstract |
21世紀に入り急速に進展した2次元フォトニック結晶光ナノ共振器は、環境負荷や省エネルギーに配慮した革新的な光・電子デバイス創生のための有力な機能素子として強く期待されている。代表者はこのナノ共振器研究の根幹を支えるパラメータであるナノ共振器のQ値と波長制御の世界最高値を、卓越した微細加工プロセスと顕微分光技術を駆使して、更新してきた。本研究では現在の最高値の3倍に相当するQ値1千万、波長ばらつき100pmという一里塚を達成することを目標としている。同時に、このナノ共振器を用いて、既存技術の壁を打ち破る非線形光学現象の増強を見出ことを目指している。 本年度の主な研究成果は、ナノ共振器のQ値を500万以上に更新したことが挙げられる。これは、常識に囚われない、妥協のない、プロセス改善と構造揺らぎに強いナノ共振器構造の検討によりもたらされた。一方で波長制御に関しては、大きな向上は現在までのところ得られておらず、これは両者の間の相関関係について重要な知見を与えた。 ナノ共振における非線形光学効果の増強を革新的光デバイス創生につなげるためには、その基盤学問体系の構築が不可欠である。本年度はまず、これまでに研究実績のあるラマン散乱現象について主に共振器のQ値、共振波長、電磁界分布、構造の対称性、共鳴/非共鳴に対する散乱強度変化を顕微分光技術を用いて調べた。その結果、ラマン散乱の増強および誘導ラマン散乱の兆候を確認することに成功して、ナノ共振器における非線形光学現象の増強が可能であることを明瞭にした。さらに、バックイルミネート型CCD分光器を用いた短波長側の光現象として2倍高調波や3倍高調波の確認を行うための顕微分光測定系の構築を行った。これらの研究対象は、次年度以降、特に3年目に本格化させる予定である。 なお、本研究の試料作製の一部は、京都大学野田進研究室の協力を得て行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ共振器のQ値を当初目標通り500万まで高めることに成功するとともに、今後の向上に重要となる手法の有効性を確かめた。さらに非線形光学効果についても、高感度顕微測定系を構築して誘導ラマン散乱を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ナノ共振器のQ値を600万以上に更新し、波長ばらつきを200pm以下まで低減させることを目指す。そのために、プロセス改善、吸収の影響の評価、構造揺らぎに強い共振器構造の検討という戦略を用いる。非線形光学効果の増強については、引き続き誘導ラマン散乱現象について様々なサンプルをを用いて系統的に調べる。また新たに作成した顕微分光測定系を用いて、短波長側の光現象として2倍高調波と3倍高調波の確認や近赤外2光子吸収キャリアによるバンド間遷移の観測などを行う。
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Research Products
(18 results)