2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23686031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
越山 顕一朗 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (80467513)
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Keywords | 分子動力学 / 非平衡非定常 |
Research Abstract |
本研究は,(i)超音波による圧力変動および微小な流れと細胞膜との干渉の非平衡・非定常分子シミュレーション,(ii)チャンネルタンパク質,イオンを含む細胞膜分子モデル,(iii)超音波刺激に応答する神経回路網モデル,を開発し組み合わせることで,超音波下の(1)分子レベルの膜構造変化,(2)イオンの膜透過,(3)電位差変化の伝搬を調べ,さらに,(iv)in vitroの超音波ニューロモジュレーション実験を行ってそれらを検証することで,理論と実験の両面から超音波ニューロモジュレーションの分子的機構を解明することを目的とした研究である.本年度は,(1)膜を隔ててイオン濃度が異なる三段脂質膜モデル,(2)代表的な張力感受性チャネルタンパク質のMscLを含む脂質膜モデルを構築し,MDシミュレーションを行うことでそれらの基礎的な物性値を見積もった.また大規模系を扱うため,粗視化モデルを用いた細胞膜モデルを構築した.さらに,超音波照射下での膜構造の周期的な変化を表現するシミュレーションコードを開発した.このコードを脂質膜系に用いることで,さまざまな周波数に依存した膜構造変化を分子レベルで解明し,その成果の一部を,日本機械学会2011年度年次大会,および第24回バイオエンジニアリング講演会において発表した.上記シミュレーションの結果より,超音波照射による周期的な膜構造変化によるイオンの膜透過が予測されたため,この現象を実験的に検証するために,まずは,超音波照射による細胞への蛍光分子の取り込みを観察するための装置を開発し,イオンより大きい蛍光分子の透過を確認できた.また,人工脂質膜を顕微鏡下に作製し,さらに顕微鏡下で細胞に超音波を照射できる実験システムを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に使用している計算機が高速化し,そのためパラメトリックな計算を同時並行で行うことが容易になってきていることがあげられる.
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Strategy for Future Research Activity |
神経細胞活動の電気回路モデルの構築に関しては,研究対象が新しく未知の点が多いため,本分野の専門家である,大阪大学基礎工学研究科,野村教授などに研究ミーティングを依頼してアドバイスをいただきつつ,研究を推進していく予定である.
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Research Products
(3 results)