2012 Fiscal Year Annual Research Report
SRモータ搭載EVの低トルクリプル・高効率協調マルチドライブ
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23686045
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 博樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90374959)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電気機器工学 / 電気自動車 / マルチドライブ / エネルギー効率化 / 小型化 |
Research Abstract |
地球環境への配慮から,電気自動車やハイブリッドカーが注目されているが,それらの多くは希土類元素を用いた磁石が用いられており,近年,その希土類元素の入手性が特定国に依存していることが問題になっている.そこで,申請者は希土類元素を用いないSRモータに着目している.特に,SRモータはその頑健性や低コスト性から,究極の電気自動車駆動方式である,インホイールダイレクトドライブに適していると考えられる.しかし,SR モータの欠点として,トルクリプルが大きく,高効率なトルク制御法が確立していないことが指摘されている.本研究課題では,インホイールSRモータを搭載した電気自動車における各輪駆動用モータのトルクリプルの低減,高効率駆動,および駆動回路の高効率化・低コスト化を目的として,複数のSRモータ間にわたる瞬時トルク制御法およびSRモータのマルチドライブ用低コスト・高効率駆動回路の提案と実証を行った. 平成24年度の研究においては,シミュレーションによるマルチドライブ駆動回路の検討と小型SRモータを用いた実証実験を行い,次のような成果を得た. (1)コンデンサと直流電源を直列接続するこで,スイッチングデバイス数,配線数,および回路損失を減少させる駆動回路を提案し,シミュレーションにより提案制御方式と併用して動作可能であることを明らかにした. (2)購入した汎用インバータと新たに設計した制御回路基板を組み合わせて提案駆動回路が確実に動作し,実際に車両の駆動に耐えることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究においては,当初の計画通り,シミュレーションによるマルチドライブ駆動回路の検討と実機モータを用いた実証実験を行い,提案駆動回路の有用性を明らかにしたので,十分な成果が得られたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究においては,提案制御方式、および駆動回路方式について、開発中の電気自動車に適用可能な制御回路・駆動回路の開発を行い、実走行試験を行い、本研究の目的の達成を目指す。 具体的には、開発中の電気自動車は一人乗りの小型車であり,PCを利用するDSPステムを搭載することは困難であるため,新たに専用制御回路を開発する。この制御回路を実用的かつ低コストに設計することも本研究における大事な目的である。また,制御回路はDSPではなく,FPGA(Field Programmable Logic Array)を用いることとする。FPGAはマイコンやDSPと違い,プログラムはハードウェアとして実現されるため,完全な並列動作が可能であり,高速な制御が可能であるばかりでなく,VHDL言語により開発が可能なため,Simplorerで構築した制御モデルをそのまま転用可能である。 開発した制御回路を用いて実際に電気自動車を走行させ,マルチドライブ協調トルクリプル低減制御と提案駆動回路の動作について,電流・電圧・トルク波形・騒音等について検証する。また,効率についても評価する。このとき,ワイヤレス電圧収録装置を用いて走行中の電圧,電流などのデータを収集する。また,スリップしやすい路面などの外乱を与える試験コースを設置し,外乱を与えた際の挙動を検証する予定である。
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