2012 Fiscal Year Annual Research Report
都市減災・早期復興に資する震災廃棄物起源材料の高度利活用研究
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23686081
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
田村 雅紀 工学院大学, 建築学部, 准教授 (80315754)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 震災廃棄物 / 資源循環 / 環境負荷低減 / 二酸化炭素排出 / 環境共生 / 生物環境 / リサイクル |
Research Abstract |
平成24年度は,以下の4課題に対して検討を行った。得られた成果の概要を示す。 2.1震災廃棄物起源材料の物性分類化:東日本大震災における復旧・復興活動による廃棄物起源材料の利活用性が今後の震災対策に有効と考え,現地での震災廃棄物処理実態の調査や研究報告を行ない,木・RC造建物を中心に地域性を踏まえた震災廃棄量の分別状況・処理効率に基づく最終処分段階までの運搬時二酸化炭素排出量を推計した。また震災廃棄物の高度利活用に不可欠となる機能的付加価値を上げるため,海洋生物殻を用いて近赤外線反射率を高められるような材料選定の具体の検証を行い,付加価値分類項についても抽出した。 2.2震災廃棄物起源材料モデルの作製と物理化学的特性分析:上記を踏まえ,震災廃木材と無機系材料を組み合わせた建設資材を想定し,いくつかの二次副産材も含めた震災廃棄物起源材料モデルを作製し,それらを複合化して得られる構造部材,下地・外装材を製造した。その基礎力学特性をはじめ受害(吸水)を想定した物性変化を実験的に評価した。また仮設住宅に適用される建材調査を使い手の立場を踏まえ実施し,建材が及ぼす住環境影響を評価した。 2.3東京都市圏におけるRC造建築物の年あたり蓄積量/累積蓄積量の推計:都市圏での情報整理には,地域別着工統計や生コン総出荷量実績値等が必要となるため,まず全国におけるマクロ的推計量を把握した。その過程で今後の課題として津波被害等も含めた災害劣化外力を踏まえた震災廃棄物起源材料の発生特性の評価が今後の課題となることが確認された。 2.4東京都市圏におけるRC造建築物建設に伴う資源利用・環境負荷量の推計:ロジスティックス分野におけるCO2排出量算定方法等を踏まえ,震災復興時に重要となる資機材運搬・施工の高度合理化を図るシナリオを設定し,二酸化炭素排出量・経済性・人工量変化を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,当初掲げた4つの研究課題に対して検討を行うことに加え,東日本大震災からの復旧・復興活動が進展したことにより,本研究課題である「都市減災・早期復興に資する震災廃棄物起源材料の高度利活用研究」にかかわる社会的な視点の広がりをはじめ,実効可能な方策や技術的対策について具体的な検証例を確認することが非常に大きな役割を果たした。 その結果,現代日本の社会構造特性を前提した実質的対応の特徴が明確になった点が研究内容にも加えることが可能となり,当初計画していた研究上の視点と実状を踏まえた今後の進め方が深く考察されたといえる。なお,その事例として仮設住宅に適用される建材調査を使い手の立場を踏まえ実施し,建材が及ぼす住環境影響を評価した点については,廃棄物起源材料を含む未利用資源や十分に普及した既存建材の使用者に対する品質保証性を議論する上では,当初の計画を大きく越えた特筆すべき成果に繋がっていると考えられ,建材が保有する作り手にとっての品質管理の範囲外における,メンテナンス性,安全性,使用性などの信頼性指標を踏まえた使い手への品質保証について検討する重要な機会を導出することができたと考えられる。 また以上の検討について,日本建築学会や日本コンクリート工学会を中心に,関係者からの情報収集をはじめ自身も委員会活動等に参画することで多面的な視点を踏まえることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,平成24年度に引き続き当初計画に基づく研究を実施する。 なお,東日本大震災における復旧・復興活動については,本計画申請時は震災発生前であったことから,東北地方を対象とした具体的な対策については触れられてはいないが,「現在までの達成度」に記載した内容のとおり,実際の復旧・復興活動の状況調査を行いながら,各種の方策・技術的対策の社会対応性を中長期的な対応状況を細かく分析し,研究内容に反映することで成果の意義も深まると考えられる。従って,被災地現地での調査の実施や廃棄物等の材料・資材移動状況の変化,さらには法的規制の影響なども十分に考慮しながら,当初の研究を計画的に実施をする。 なお,当該課題のアウトカムを具体的に提示することは,首都直下地震や東南海沖地震の減災を含めた震災時BCP対策における社会貢献にも繋がることため,論文等により積極的に情報を公表するとともに,前年度に引き続き,日本建築学会や日本コンクリート工学会を中心にとした場での情報収集をはじめ委員会活動等への参画により,災害対策に関わる最新動向を踏まえた検討を行う。
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Research Products
(27 results)