2012 Fiscal Year Annual Research Report
チタン酸ナノチューブ固体酸触媒の合成および炭素-炭素結合形成反応への応用
Project/Area Number |
23686115
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北野 政明 東京工業大学, 元素戦略研究センター, 准教授 (50470117)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス / チタン酸ナノチューブ / 固体酸触媒 / 異種元素ドープ |
Research Abstract |
チタン酸ナノチューブの酸触媒特性発現機構の解明のために、チタン酸ナノチューブと類似した結晶構造を有する層状チタン化合物やそれらを剥離したナノシートとの構造特性,酸触媒特性の比較を行った。詳細なRaman, FT-IR分光分析,DFT計算などの結果から、構造の歪みとブレンステッド酸強度の関係性を明らかにすることができた。チタン酸ナノチューブは、ナノシートよりもTi-O-Ti結合の伸縮振動がより低波数シフトし、Ti-O-Ti結合が弱くなっており、アンモニア吸着エネルギーを測定すると、チタン酸ナノチューブの方がより大きな値(113 kJ/mol)を示すことが明らかとなった。つまり、チタン酸ナノチューブのブレンステッド酸点(Ti-OH-Tiサイト)は、構造の歪みにより強くなっていることが明らかとなった。このアンモニア吸着エネルギーは、HYゼオライトの値に匹敵する値であることも明らかとなった。ルイス酸点に関する計算も行ったが、OH基による吸着の影響を除去することができないため、測定することができなかった。これらの結果は、これまで解明されていなかったチタン酸ナノチューブの酸性質を初めて解明した結果であり、学術雑誌(Chem. Mater., 2013, 25, 385-393.)に掲載された。 チタン酸ナノチューブの高性能化を目的として、Nb5+やTa5+をドープしたチタン酸ナノチューブの合成を試みた。いずれの場合も、触媒活性が2倍以上に向上することが明らかとなった。さらに、表面をリン酸や、フッ素で処理したチタン酸ナノチューブの合成も行った。グルコースからHMFを合成する反応に対して選択性が大きく向上するが、チューブ形状が壊れ、安定性の良くないものであることが明らかとなった。これら得られた知見に対して、国内学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チタン酸ナノチューブの酸性質を解明し、その結果が学術雑誌に掲載された。また、Nb5+やTa5+をドープすることでチタン酸ナノチューブの性能を2倍以上に向上させることに成功している。これらの結果を国内及び海外での学会発表で報告し、現在、学術雑誌に投稿準備中であり、当初の計画通り順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Nb5+やTa5+をドープしたチタン酸ナノチューブの活性向上の要因を明らかにするため、XAFS測定などにより、詳細な酸点の構造解析を行う。また、含浸法や蒸着法を用いることで金属種を高分散に担持した触媒を合成し、水熱合成法で骨格への導入が困難である金属種との複合化を試みる。得られた成果をまとめ、国内および海外での学会発表を行い、国際学術雑誌に投稿する予定である。
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Research Products
(9 results)