2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアにおけるtRNAプロセシング機構の解明
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23687015
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
沼田 倫征 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (10401564)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / tRNA / アンチコドン / 化学修飾 / GTP結合タンパク質 |
Research Abstract |
高等真核生物のミトコンドリアでは、ロイシンtRNAなどのアンチコドン1文字目のウリジンは、タウリンにより化学修飾され5-タウリノメチルウリジンへと変換されている。この化学修飾には2種類の酵素(MTO1およびGTPBP3)が関与し、タウリン、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸を基質として、GTP依存的に反応が触媒されると推定されている。まず、MTO1およびGTPBP3の大腸菌内における発現系を構築した。その結果、GTPBP3については可溶性画分への発現を確認したが、MTO1はすべて封入体として発現していた。MTO1を可溶性画分へ発現すべく様々な発現系を構築したが、現在のところMTO1の可溶性画分への発現系は得られていない。GTPBP3とMTO1の真正細菌ホモログは相互作用することが指摘されているため、今後、pETDuet-1などを用いた共発現系を構築し、MTO1の可溶性画分への発現を目指す。発現させたGTPBP3をアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製した。得られたGTPBP3(ヌクレオチドフリーフォーム)を用いて結晶化条件の初期スクリーニングを行ったが、結晶は得られなかった。反応に必要なGTPはGTPBP3と相互作用する。一般的に、GTP結合タンパク質はGTP結合型とGDP結合型で大きく構造が変化する。そこで、GTPもしくはGDP存在下でGTPBP3の結晶化を試みたが、現在のところ、結晶は得られていない。上記のように、GTPBP3とMTO1の真正細菌ホモログは相互作用することが指摘されているため、今後、共発現系を構築し、複合体としてサンプル調製・結晶化する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的タンパク質の発現系を構築し、大量かつ高純度に精製する系を構築した。また、得られたサンプルを用いて、さまざまな条件下で結晶化条件の初期スクリーニングを行っていること考慮するとおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
可溶性画分へ発現が困難なMTO1に関しては、今後、GTPBP3との共発現系を構築し、可溶性画分への発現を目指す。可溶性画分への発現が確認できれば、複合体としてサンプルを精製し、複合体の結晶化を目指す。大腸菌を用いた発現系では、可溶性画分への発現が困難な場合、他の(大腸菌以外の)発現系を検討する。また、真正細菌ホモログを用いて、それら複合体の調製・結晶化についても検討する。
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