2012 Fiscal Year Annual Research Report
不完全変態昆虫(コオロギ)の胚形成における位置情報の形成と細胞移動のメカニズム
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23687033
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三戸 太郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (80322254)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 位置情報 / 細胞移動 / 昆虫 / 胚発生 |
Research Abstract |
昨年度、Wnt、BMPシグナルが細胞移動を伴う胚原基形成過程で重要な役割を果たしていることを示唆するデータを得ていたが、引き続きGFP発現トランスジェニックコオロギの系統を用いた胚発生ライブイメージングの系による解析をさらに詳細に行った。両シグナル経路に関わる因子の遺伝子を、RNAiにより複合的にノックダウンするなどの解析を通じ、WntシグナルとBMPシグナルが協調的に胚後部のパターン形成を制御している可能性を示唆す結果を得た。BMPシグナルの胚前部パターン形成への役割についてもデータが得られており、解析を継続している。 一方、コオロギのゲノム編集に関して、人工制限酵素ZFNおよびTALENによる遺伝子ノックアウトの成果について論文を発表し(Watanabe et al., Nat. Commun., 2012)、また、招待講演を行った(Mito, Janelia Workshop, 2013など)。本年度は、ZFN/TALENによる遺伝子ノックインの系を確立すべく、相同組換え用ベクターを構築し実験を行ったがノックインを示す結果は得られなかった。しかし、並行して進めていたCRISPR/Casシステムによるコオロギゲノムへの標的特異的変異導入に成功し、しかも、本方法によってZFN/TALENよりも顕著に高い効率で変異導入が可能なことを示す結果を得た。遺伝子ノックインにも有効であると期待される。 さらに、コオロギゲノム解読について、新学術領域研究・ゲノム支援の支援課題としてシーケンスデータの情報解析支援を受けたことにより、難航していたアセンブリの状況が大幅に改善された。スキャフォールドN50が500kbを越え、実用的なレベルに到達した。さらなる連結性(contiguity)向上を目指しつつ、一方で共同研究者とのアノテーションの準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZFN/TALENによる遺伝子ノックインにはまだ成功していないものの、CRISPR/Casシステムにより標的特異的導入がZFN/TALENよりも顕著に高い効率で起こることを発見した。これは画期的な成果であり、ゲノム編集の効率が大幅に上がり今後の研究の進展を加速する可能性がある。また、Wnt,BMPシグナルの胚発生における機能について、ライブイメージングを利用して新規の重要な知見を得ている。成果発表についても順調に行っている。これらの点から標記の評価に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR/Casシステムを用いて遺伝子ノックイン技術の確立を目指し、胚原基のパターニングに関与する遺伝子のリアルタイム発現解析を早期に実現する。また、ゲノム配列情報について、アノテーションを充実させたデータベースを構築し、転写制御領域の獲得や遺伝子ターゲッティングの標的領域の決定を迅速に行える環境を整備する。最終年度となるので、胚発生メカニズムの新たなモデル構築にむけて成果の統合や論文等での発表にも力を入れる。
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Research Products
(14 results)