2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23688021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 友也 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (90509142)
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Keywords | セルロース合成酵素 / 構造生物学 / 単粒子解析 / CesA / 電子顕微鏡 / 大腸菌発現系 |
Research Abstract |
大腸菌発現系で、酢酸菌のセルロース合成酵素複合体の構成サブユニットCesA とCesB を共発現させ、遠心分画と各種クロマトグラフィーを使い精製した。現在までCesBについては純度高く精製することに成功し、ゲル濾過で分子量1,000kD程度であることから、8-12量体の会合体であることが判明した。負染色法により電顕観察を行い、まずテストとして568粒子像を使い構造解析計算を行った。ランダムコニカルティルト法(以下RCT法)で初期構造をおこし、これを使ってプロジェクション・マッチングにより各粒子像の投影角度の精密化を行った。この結果、構造の上面と下面で凹凸の程度が異なっており、凹凸の激しい面には明らかな突起物が見られた。そこでモデルの信頼度を上げるために粒子数を3500まで増やし解析を行ったが、得られたモデルは先の結果ほど明快な特徴を示さなかった。しかし、構造の上面と下面で凹凸の程度が違う点は再現した。以上から、引き続き精製、電顕観察および解析計算の最適化を行う必要があるものの、制御サブユニットCesBタンパク質について、ドラフトモデルであるが初めて構造モデルを提案することができた。 一方でCesA及び、CesA /CesB複合体については、その精製に成功していない。しかし、CesA/CesBが解離するかどうかは膜から可溶化するときの界面活性剤の条件が大きく影響することを示唆するデータが得られており、今後の精製実験の指針は得られている。 また、酢酸菌そのものから抽出した合成活性の速度論的解析を行ったところ、①界面活性剤で可溶化する前とした後で酵素学的特徴が根本的に異なる(Hill係数が違う)、②セロビオースやセロオリゴ糖が何らかの形で反応に関与していることが判明し、今後構造解析結果を使って機能を議論する際や、構造解析のためのタンパク質精製を進める上でも重要な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
構造解析計算については、一通りのプロトコルを組むことができ、意味のありそうなデータを得ることができた。従って、より多くの画像で構造解析計算を進めることで、信頼に足る三次元構造データを得ることが可能となった。そこで数千枚の画像データを得るために、CesBタンパク質の精製実験を再度行ったが、以前に成功した精製条件でも結果が再現しなかった。そこで、再度精製条件の最適化まで戻る必要が生じ、現在もまだ成功に至っていない。すなわち、タンパク質精製の過程でつまづいていることが原因で、達成度はやや遅れていると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
構造解析のためのタンパク質精製実験(精製条件の最適化)を継続して進め、CesBタンパク質およびCesABタンパク質複合体の精製を進める。また研究実績の概要の項で述べたように、反応速度論的解析から、セルロース合成活性の酵素学的特徴について大変面白いデータが得られたので、構造解析と平行して、速度論的解析にも力点を置く。本課題の当初目標はセルロース合成酵素の構造解析の基盤構築であるが、構造解析データをより深く解釈するためには機能解析データが必須であり、セルロース合成酵素の構造と機能を総合的に理解するための基盤構築を行う。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Extraction of cellulose-synthesizing activity of Gluconacetobacter xylinus by alkylmaltoside2011
Author(s)
Hashimoto, A., Shimono, K., Horikawa, Y., Ichikawa, T., Wada, M., Imai, T., Sugiyama, J
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Journal Title
Carbohydrate Research
Volume: 346 (17)
Pages: 2760-2768
DOI
Peer Reviewed
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