2011 Fiscal Year Annual Research Report
農業工学とコロイド界面化学の体系的融合による持続可能な土壌・水環境保全技術の確立
Project/Area Number |
23688027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 幹佳 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (20400179)
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Keywords | 土壌 / コロイド / 粘土 / 凝集 / 分散 / 沈着 / 水理 / フロック |
Research Abstract |
本研究では,コロイド界面化学と水・土を扱うマクロな農業工学を基礎から応用まで体系的に融合し,土壌と水環境の保全技術を確立することを目的とする.この目的を達成する初段階として,多様なイオン,粘土・コロイド,天然有機物を含むヘテロ系や流れが存在する系でのコロイドの凝集特性を実験により検討した.本年度の成果は以下の通りである. 1.固液分離の高度化や粒子の輸送単位の予測においては,コロイド凝集体の形成速度,なかでも凝集速度定数の理解が重要となる.乱流中におけるミクロンオーダーの粒子の凝集速度定数を得る方法として吸光度測定とT-matrix法を用いた手法が有効であることを実験結果の理論解析に基づいて確認した. 2.腐植物質などの天然有機物(NOM)はコロイド粒子の凝集挙動に影響を与える.シリカ粒子の凝集速度におよぼすアルギン酸,腐植酸(HA),フルボ酸(FA)の効果と共存する陽イオン組成の影響を検討した.その結果,多価の陽イオンとアルギン酸,HAが共存する場合,凝集速度は特異に促進されることが明らかとなった.FAの場合には凝集速度に顕著な変化は表れなかった.また,CaイオンとともにMgイオンまたはKイオンを加えた場合,特異な凝集促進の効果は弱められた.このことはNOMが関与する凝集の場合にはイオンの組成が極めて大きな役割を果たすことを示唆している. 3.火山灰土中の代表的な粘土であるイモゴライトとラテックス粒子が混合したヘテロ系の凝集分散特性および荷電特性を実験により検討した.その結果,イモゴライトが正に帯電し,ラテックスが負に帯電している場合,荷電中和とスウィープ凝集の2つの凝集作用が期待できると考えられた.一方,両者がともに負に帯電している場合には,スウィープ凝集のみが作用すると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数のイオン,粘土・コロイド,天然有機物を含む複雑なヘテロ系における凝集の特徴を実験により検討できている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果をベースとして今後の研究を展開する.なお,申請時に計画していた博士研究員の採用は予算的に困難であるため,謝金を活用した実験補助等により代替する.
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Research Products
(9 results)