2011 Fiscal Year Annual Research Report
宿主―原虫間相互作用解析による新規自然免疫現象の解明
Project/Area Number |
23689029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 雅裕 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00444521)
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Keywords | トキソプラズマ原虫 / ROP18 / ATF6β / 免疫系 |
Research Abstract |
我々宿主は、様々の病原体の構成成分という非自己由来の成分を認識し免疫応答を惹起することで病原体を排除している。しかし生きた病原体は種々のエフェクター分子を宿主免疫細胞で発現あるいは直接注入して宿主免疫反応を弱体・無力化していることが最近明らかになりつつある。そこで本研究では真核生物病原体であるトキソプラズマ原虫を用いてその病原性に関与するエフェクター分子が標的としている宿主因子を同定し、その宿主因子の宿主自然免疫における役割を解明することで原虫一宿主の相互作用機構を明らかにし、トキソプラズマ症の画期的な免疫治療法・ワクチン開発の分子的基盤を提供することを目的とした。当該年度において、トキソプラズマ原虫が放出するエフェクター分子ROP18の遺伝子欠損原虫を作製し、ROP18がトキソプラズマ原虫の急性期の病原性に重要であることを見出した。ROP18は宿主細胞質内で機能することが報告されていたため、ROPI8が作用する宿主因子を検討したところATF6βという転写因子がROP18結合分子として同定された。ROP18を過剰発現させるとATF6βがリン酸化酵素活性依存的に分解した。さらにATF6βを欠損したマウスを作製しROP18欠損原虫を感染させたところROP18欠損原虫であっても病原性を有していたことからATF6βが宿主の感染防御免疫系に正に機能しているが、野生型原虫はROP18を放出しATF6β依存的免疫系を抑制していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エフェクター分子ROP18のエフェクター機構を明らかにし、Journal of Experimental Medicine誌に報告することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、ROP18以外のエフェクター分子であり遺伝子欠損原虫を作製しているものについての病原性エフェクター機構を解析を継続して行う。
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